【オフィスが暑い!?】労働安全衛生法における室温の目安はどのくらい?
私たちが毎日働いているオフィスのような部屋は、快適に仕事ができるように季節によって室温が決められています。
これは“労働安全衛生法”と呼ばれている法律で定められているのです。労働安全衛生法は第一章から第五章まで記載されており、温度については第二章、事務室の環境管理における第四条と第五条の三項にきちんと記されています。
では、労働安全衛生法において室温はどのように決められているのか詳しくみていきましょう。
1.室温が10度以下の場合は温度調節が必須
労働安全衛生法の第四条では、「事業者は、室の気温が十度以下の場合は、暖房する等適当な温度調節の措置を講じなければならない」と記載されています。
もし室温が10度以下になっているときは、適切な室温に戻すため、ストーブや暖房をつけるなど対策を心がけていかなければならないのです。10度以下のなかで仕事や勉強をすることは困難であり、体に大きな負担をかけてしまいます。
もし10度以下でもそのような措置がなされていない場合は法律違反とみなされるので注意しておかなければなりません。
また、第四条の二項では「事業者は、室を冷房する場合は、当該室の気温を外気温より著しく低くしてはならない」とも記載されています。ただし、電子計算機といった機会を設置している部屋においては、保温のための作業着を着させている限りOKとなっています。
2.室温は必ず「28度以下」
労働安全衛生法の第五条三項をチェックしてみてください。そこには「事業者は、空気調和設備を設けている場合は、室の気温が十七度以上二十八度以下及び相対温度が四十パーセント以上七十パーセント以下になるように努めなければならない」と記載されています。
つまり、室温は17度以上28度以下が適切であると法律で決められているということになるでしょう。基本的にオフィスは空気調和設備が整っているのでその日の外の気温によって自由に室温を決めることができるようになっています。
できるだけ外の温度と差が開くことなく、17度以上28度以下を保ち続けておかなければなりません。
デスクワークが仕事となっている人はずっと部屋の中で作業をすることになるので室温は体調管理の大切なポイントになります。事業者がしっかりと管理しておくことが重要ですね。
3.増えて続けている室内熱中症
冬場はあまり心配はありませんが、夏になるととても気温が暑くなります。室内でも水分補給が少なければ熱中症にかかってしまい、命にかかわる危険を伴うこともあるのです。実際、地球温暖化が進んでいることもあり、「節約」を心がけている会社が増えてきています。
節約をしようと室温をあげているのです。節約する気持ちは大切ですが、労働安全衛生法に基づく室温を守っていない会社が増えており、室内でも熱中症にかかってしまう人も増加しています。
節約を心がけるとしても労働安全衛生法で決められている室温は必ず守っておかなければなりません。従業員が安心して働くことができる環境にするためにも大切なことなので覚えておきましょう。
4.室温が適正でないと起こる問題は?
現在は、多くのオフィスが空調によって室温が管理されています。そして、近年では省エネの影響で冷房は高めに、暖房は低めの温度設定になっているところが多いでしょう。しかし、あまり温度が高すぎたり低すぎたりすると、体調や仕事の効率に影響が出てきます。
また、電子機器にも影響が出てくるでしょう。特に、夏場は28度以上の室温の場合電子機器に影響があります。パソコンなどを使用している場合は必ず28度以下に設定しましょう。
5.よくある質問
Q.室温が高すぎて室内熱中症になった場合は、労災扱いになるのでしょうか?
A.はい。因果関係が認められれば認定されます。
Q.室温が高くても涼しさを感じる工夫などはあるでしょうか?
A.室温が高くても湿度が低ければ、過ごしやすいのです。ですから、冷房ではなく除湿をかけるという選択肢もあります。
Q.どうしても温度の調整ができない場所での仕事はどうすればいいですか?
A.こまめな水分補給や休憩を忘れずに行いましょう。
Q.室温の管理は衛生管理者の仕事ですか?
A.衛生管理者が代表で管理していても問題はありません。
Q.室温が高すぎる、もしくは低すぎる場合は職場を訴えることはできますか?
A.労働基準監督署に指導してもらうことは可能です。
まとめ
労働安全衛生法で決められている室温は「17度以上28度以下」です。10度以下の場合は何かしら暖房をしなければなりませんし、28度以上にしてしまうと熱中症にかかってしまうこともあるので注意しておかなければなりません。
事業者は従業員が安心して働くことができる環境を作っていきましょう。