血液の成分とその働きとは?意外に知らないことも多いのです。

 血液は、健康のバロメーターです。
健康診断では必ず血液を採取しますし、血液の数値に異常が出る病気はたくさんあります。
そこで、今回は血液の成分やそれぞれの働きなどをご紹介しましょう。
特に、衛生管理者は従業員の健康診断の結果を管理しています。
血液の数値の読み方が分かれば、従業員の健康状態の把握もしやすくなるでしょう。
今回は、血液に異常が現れやすい病気などもご紹介します。
ぜひこの記事を読んで健康維持に役立ててみてください。

  1. 血液の働きとは?
  2. 血液の各成分の働きとは?
  3. 血液型の違いとは?
  4. 血液の異常で分かる病気とは?
  5. おわりに

1.血液の働きとは?

血液は、体中をくまなく流れる液体のことです。
血液の量は全体重の7%~8%を占めています。
体重が60キロの方ならば、血液の量は約4.8キロになるのです。
血液は、大きく分けて3つの働きがあります。
ひとつは、体中に酸素と栄養分を運ぶ働き。
ふたつめは外部から侵入してきたウィルスや細菌を排除すること。
そして3つめは体の熱や酸、アルカリのバランスを調整する働きです。
私たちの体が常に一定の熱をたもっていられるのも、体の隅々まで、血液が流れているため。
ちなみに、寒いと手や足がかじかんで動かなくなるのは寒さで血管が縮まって血液の流れが悪くなるせいです。

2.血液の各成分の働きとは?

血液の中には、いろいろな成分が入っています。
この項では、成分ごとの働きについてご説明しましょう。
知っているようで知らないものもあるかもしれません。

2-1.赤血球

血液が赤く見えるのは、この赤血球のためです。
血液の中で最も多くの割合を占めている成分が、この赤血球。
ヘモグロビンという物質に酸素を結びつけて、体中の細胞へ運びます。
そして、代わりに二酸化炭素と老廃物を受け取って再び心臓へと帰るのです。
ですから、動脈と静脈では血液の色が異なります。
静脈に流れる血液が黒ずんで見えるのは二酸化炭素と結びついているからなのです。

2-2.白血球

白血球は、細菌やウィルスから体を守る役割を担って(になって)います。
赤血球に比べて数が少ないのですが、白血病のように白血球が異常繁殖する病気もあるのです。
白血球の数が増えていると、臓器などが炎症を起こしている可能性もあります。
ちなみに、白血球は、5つの種類があるのです。

2-3.血小板

血小板は、血漿(けっしょう)の中の成分と一緒に血液を固める役割を担って(になって)います。
血が固まるのは、血小板のおかげなのですね。
この血小板が少なくなると、血友病などの血が固まらなくなる病気になります。
また、血管内で血が固まってしまうと「血栓」になり、脳こうそくなどの原因になるのです。

2-4.血漿(けっしょう)

血漿(けっしょう)は、血液の中から今までご紹介した3つの成分をすべて取り除いたものです。
90%が水分で、残りはタンパク質などになります。
血漿(けっしょう)は、全身を巡って水や栄養素などを細胞に届け、逆に不要になった水や老廃物を持ち帰るのです。
一番マイナーな存在ですが、これがなければ血液は体中をうまく巡れません。
ちなみに、成分献血とは、血液中の血漿(けっしょう)だけを献血することです。
一度抜いた血液を遠心分離器にかけて血漿(けっしょう)だけ取り出して残りを元に戻すので、時間がかかります。
しかし、赤血球を抜き取らないので通常の献血が比重不足でできない人も協力できるのです。

3.血液型の違いとは?

血液型とは、血液の中に含まれる「抗体」の違いです。
血液は厳密に分析すれば、同じ血液型の人はほとんどいないといわれています。
しかし、抗体だけで分類すると、皆様にもおなじみの4種類の血液型に分類されるのです。
現在は、赤血球膜の抗原による分類の、Rh式も併用されています。
自分の血液型を知っておかないと、事故や病気で輸血が必要になったときに困りますから、機会を見つけて早いうちに調べてもらいましょう。
ちなみに、生まれたばかりの赤ちゃんは血液型が変化することもあります。
さらに、血液型は親子関係の証明としても利用されてきましたが、「キマイラ型」といって両親どちらの血液型とも一致しない子どもが誕生する可能性もあるのです。

4.血液の異常で分かる病気とは?

健康診断では、必ず血液検査があります。
この項では、血液の異常で分かる病気の一部をご紹介しましょう。

4-1.血液自体の病気

血液のがんといわれる白血病や、血友病などの血液自体の病気になると、血液の成分に異常が出ます。
前述したように白血球が異常に増えたり血小板が少なくなったりするのです。
血友病は遺伝性の高い病気ですが、白血病は急に発症することも少なくありません。
体がだるくなり、微熱が続くなどのかぜに似た症状が現れます。

4-2.病気で血液中の値に異常が出るケース

年齢が高くなってくると、「高血圧」や「高脂血症」などの症状が出る方が増えてきます。
血圧というのは、心臓が血液を押し出す圧力のことです。これが高いほど強い圧力で血液が押し出されていることになります。
つまり、血液の圧力に血管が耐えきれず、破れてしまう可能性も高くなるのです。
ですから、高血圧になると脳出血などのリスクが高まります。
また、高脂血症というのは、血液中に脂肪分が増えることです。この脂肪分とはいわゆる悪玉コレステロールのこと。
「血液がドロドロ」とよく表現されますが、脂肪分が高くなると血液は粘度が増し、血管を詰まらせやすくなるのです。
高血圧や高脂血症などは、生活習慣が原因で起こります。
ですから、食生活や生活習慣の見直しが大切です。
また、高血圧や高脂血症には自覚症状がほとんどありません。
そのため、定期的な検査が大切です。

4-3.中毒症状で現れる血液の異常

職場の中には、体に有害な物質を扱うところもあるでしょう。
有害物質は体内に入るとすぐに健康に影響を与えるものもあれば、時間をかけて健康をむしばんでいくものもあります。
ですから、健康診断で多くの従業員に血液の異常があった場合は、なんらかの中毒症状が出ている可能性が高いでしょう。
この場合は、医師から職場の衛生管理者へ注意がいきます。
衛生管理者はすぐに経営者や安全管理者に報告し、対策を立てなければなりません。
放っておくと、たくさんの人に被害が出ます。
また、体に有害な物質を扱っている職場の場合は、「特別健康診断」といって、頻繁に健康状態をチェックするように法律で定められているのです。

5.おわりに

いかがでしたか?
今回は、血液の成分や各成分の働きについてご紹介しました。
健康診断をすると、血液の数値の値も教えてもらえます。
しかし、見方が分からないという方も少なくないでしょう。
その場合は、正常値と自分の数値を比べて見ればよいのです。
正常値を大きく外れている場合は、なんらかの異常がある場合が多いでしょう。
また、血液の状態と合わせて、血圧や心電図の状態もチェックしてみてください。
なお、健康診断の結果再検査を勧められた場合は、できるだけ早く病院を受診しましょう。
再検査を勧められたからといって、必ず病気になっているとは限りません。
健康診断は短時間で多くの方を診察するので、どうしても調べられることが限られます。
ですから、時間をかけて検査をした結果、何もないということも少なくありません。
また、病気が見つかった場合も早い段階であれば、完治する可能性も高いのです。