勤務態度はどうやって評価すればいいの?評価項目はどんなもの?
従業員の昇格や昇給を考えるとき、目安となるのが「勤務態度」です。いくら仕事ができても、勤務態度が悪い従業員に責任ある立場を任せられない、と考えている経営者は多いでしょう。
そこで今回は、勤務態度を評価する方法や注意点をご紹介します。勤務態度がよい従業員を高く評価すれば、会社全体のモチベーションもアップするでしょう。しかし、評価方法を間違えると逆効果になるので、注意が必要です。
また、評価項目の種類もご紹介します。衛生管理者や部下の評価をする必要がある上司の方は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。
1.勤務態度とは?
勤務態度とは、仕事に対する姿勢全般を指します。日本の会社は特に、チームワークや社員の和を大切にする傾向にあるのです。ですから、いくら仕事ができても自分勝手でほかの社員とうまくやっていけない従業員は、会社にとってマイナスになるでしょう。
また、遅刻や早退が多すぎる従業員のほかの従業員のモチベーションをさげてしまいます。逆に、責任感が強く協調性が高ければ、仕事のできは平凡でも高く評価されることもあるでしょう。
勤務態度は自分に任されたた立場にあった仕事ぶりができるかどうかも、評価の対象になります。たとえば、役職についたらきちんと部下を教育できるかも、評価されるでしょう。つまり、仕事の成果以外の会社での行動すべてが評価対象になると言っても過言ではありません。
2.勤務態度の評価項目は?
勤務態度の評価項目は、規律性、責任性、協調性、積極性、経営意識、安全意識などから、職場に合った3~5つ選んで5段階で評価するのが一般的です。もちろん、今あげたもの以外でも、評価に値する項目があれば加えても構いません。そして、通知表のように1~5までの数字を記入するだけでなく、評価した理由などを書いておくと信ぴょう性が高まるでしょう。
また、「ひとりに評価を任せると、偏った結果が出るかもしれない」と経営者が判断した場合は、複数の人に評価をさせて見比べてみることも可能です。しかし、あまり評価する人が多くても、集計が大変になるでしょう。あまり抽象的な評価項目を設定すると、判断もしにくくなります。
3.勤務態度を評価する際の注意点
では、勤務態度を評価する際はどのような点に注意して評価すればよいのでしょうか? この項では、その一例をご紹介します。
3-1.いろいろな面から評価をしよう
勤務態度が非の打ちどころのない人はいません。責任感は強いけれど協調性がない人。積極性はないけれど規律性はある人など、凸凹があるのが一般的です。ですから、「あの人は責任感がないからダメだ」と一面だけを見て評価を下してはいけません。逆に、「あの人は協調性もあるから、責任制や規律性も素晴らしいに違いない」と決めつけても、評価を見誤ることになります。
3-2.評価の意味をよく考える
たとえば、仕事を一生懸命している従業員がいた場合「責任感があるな」と評価することはできます。しかし、同時に協調性や積極性を評価することはできません。
また、難しい仕事に挑戦してうまくいかなかった従業員を見て「あの人は仕事をやりとげることができなかった。無責任だな」と評価することはできないでしょう。確かに仕事はうまくいかなかったかもしれませんが、難しいことにあえてチャレンジする「積極性」は十分にあると言えます。評価を下すときは、評価項目に従業員の言動を慎重に当てはめていきましょう。「AができるからBもCもできるに違いない」という評価をしてはいけません。
3-3.評価する人を基準に考えない
人は、自分が得意な分野を評価するときは厳しくなり、不得意な分野を評価する際は甘くなる傾向にあるのです。たとえば、人よりも仕事量を多くこなせる人が、同じように仕事をたくさんこなせる部下を評価したとします。すると、たとえ部下が同僚の2倍の仕事をこなしていたとしても、「自分なら3倍の仕事ができる。まだまだだ」と厳しめの評価を下しやすいでしょう。
逆に、積極性のない人が積極的に発言する部下を評価した場合などは、高く評価しがちなのです。これでは、基準が一定せず評価も不正確。自分を基準に評価をしないように気をつけましょう。
3-4.まんなか評価はほどほどに
人を評価するというのは、難しいものです。つい「可もなく不可もない」と評価したくなることもあるでしょう。しかし、そんな評価ばかりしていると、勤務態度を評価する意味がありません。大変ですが、できるだけまんなかばかりの評価は避けましょう。
4.勤務態度が悪い従業員への指導方法は?
では、勤務評価の結果態度が悪いと評価された従業員は、どのように指導すればよいのでしょうか? この項では、その方法の一例をご紹介します。
4-1.まずは口頭で注意する
勤務態度が悪い社員は、まずは口頭で注意します。注意のタイミングは、不真面目な態度で勤務をしているときが最も効果的でしょう。たとえば、遅刻が多い社員は遅刻したときに注意します。しかし、従業員本人が直そうと思っても難しいこともあるでしょう。
たとえば「積極性」は、努力で身につけられるとは限りません。目立つことが極端に苦手な人もいるのです。ですから、「仕事はできるが積極性がない」などと判断された社員は、注意ではなく配置転換を考えてもよいでしょう。積極性が必要とされない部署では、のびのびと仕事ができるかもしれません。
4-2.直らない場合は文書で注意する
口頭で注意しても態度が改まらない場合は、文書で注意しましょう。文書は残るものなので、口頭よりも効果があります。また、勤務態度を理由に左遷や減給をした場合、従業員から不満が出ることもあるでしょう。中には、労働基準監督署に訴えたり争う姿勢を見せたりする人もいます。
このような場合に、文書が残っていれば「従業員に注意をしましたが、改まりませんでした」という証拠にもなるのです。従業員が「勤務態度が悪いと注意されたことがない」と訴えた場合も反論ができるでしょう。これでも態度が改まらない場合は、退職勧告などの処分も視野に入れた対処をします。
おわりに
今回は、勤務評価についていろいろとご紹介しました。
まとめると
- 勤務評価とは勤務態度や仕事へ取り組む姿勢を評価したもの。
- 勤務評価は人事や給与の目安にもなる。
- 評価は公平に私情にとらわれずに行おう。
ということです。
評価する方も人ですから、部下の好き嫌いもあるでしょう。ですが、「この人は気に入っているから高評価する」ということでは、評価の正確さが失われてしまいます。ですから、経営者は評価の理由もきちんと書かせましょう。あまり信ぴょう性のない評価ばかりを下す人は、評価者から外した方がよい場合もあります。また、「以前の評価も悪かったから、今も勤務態度は悪いに違いない」と決めつけてもいけません。人は変われるものです。口頭で注意されたり指導を受けたりすれば、勤務態度も改まることもあります。ですから、以前の評価はあくまでも目安として、今の態度を評価しましょう。