工場の安全対策を整えよう。衛生管理者の役割とは? 

工場内の管理というと、設備やシステムなどが注目されがちです。本当に必要な管理は、そこで働く人にとっての安全管理ではないでしょうか? 工場内の安全管理が行き届いていれば、効率よく活動することができ、作業能率アップや生産性の向上にもつながります。
また、安全対策をきちんと施していることで、ヒューマンエラーなども防ぐことが可能です。前面に出てくることがない工場内の安全対策ですが、それこそが工場を維持していくために本当に必要なことだといえます。
工場で働く方はもちろん、安全対策などの衛生管理者の方にも、この記事を読んでいただき、工場内の安全対策を見直しの参考にしてください。
工場の安全対策についてご紹介します。

  1. 工場における安全対策の基本
  2. 安全対策のために行われていること
  3. 工場で発生する主なヒューマンエラー
  4. まとめ

1.工場における安全対策の基本

工場では、大まかにわけて2つの管理が必要となります。1つは安全管理、2つ目は衛生管理です。この両方がバランスが取れていることにより、工場そのものの運営がスムースに行われると考えていいでしょう。

1-1.安全管理

安全管理については、ほとんどの工場でマニュアルが用意されているようです。作業の効率化、製品の品質管理のためにもとても大切となります。これを簡略化し、マニュアル以外のことを行うと、思わぬ事故につながる可能性も。効率を優先してしまうと品質の低下を招き、安全管理を無視してしまうと従業員の健康を害する、ケガや事故など危険な状況に追い込んでしまう恐れもあります。従業員の健康を守り、工場内の環境を健やかに保つなど、環境をより働きやすい形にしていくことです。労働災害を防ぐためにも、徹底した安全管理が必要だといえるでしょう。国家資格でこれらを守るための衛生管理者というものがあります。これは、食品の衛生を管理するものではなく、こうした安全対策を管理するものです。

1-2.衛生管理

衛生管理とは、食品工場などでは食中毒防止や異物混入などをチェックしていくものです。食品に限らず、製品を製造する工場においては、衛生管理は品質を維持するために欠かせないもの。これを怠ることで、思いがけぬアクシデントが発生します。衛生管理を怠った商品を出荷してしまうと、企業の信頼を失墜させてしまうこともあるので、決して無視できない問題です。

1-3.安全対策の基本

工場の安全対策を行うことで、多くのメリットが得られます。まずは、労働環境が改善することによって、従業員のやる気がアップし、積極的に仕事に取り組めるようになるでしょう。そして、作業が効率化することで生産性の向上が期待できます。何よりも、きちんと安全対策がなされていることで、ミスによる作業中断を回避し、無駄なコストをカットすることができるでしょう。
安全対策の基本は、きちんとしたマニュアルを作成することです。

2.安全対策のために行われていること

衛生管理者は、どのような役割を担っているのでしょうか? 規模が大きい工場ほど、扱う商品の数も増えてきます。それとともに衛生管理者の人数も増え、より徹底した安全対策が重要となってくるといえるでしょう。

2-1.定期的な安全対策指導

安全対策においてマニュアルは必須ですが、それをただ配布しても従業員全員が目を通すとは限りません。衛生管理者は、これを徹底させるために、定期的な指導や教育の場を作るようにしましょう。教育を行うのは大切ですが、それだけで終わらせてしまっては不十分です。普段から安全対策を励行しているかどうか、週に1回以上は巡視するようにしなければなりません。また、マニュアルから外れるようなことがあった場合には、すぐに改善するように指導することが事故やトラブルを未然に防ぐポイントです。

2-2.定期的な設備点検

衛生管理者は、50人以上200人未満の従業員がいる会社では必ず1人の有資格者の選任が義務づけられています。従業員の人数が増えるに従い、衛生管理者は多く設置しなければなりません。ヒューマンエラーを未然に防ぐのも目的ですが、工場内の安全点検も重要な仕事となります。定期的に設備を点検するなど、老朽化を確認することも大切です。合わせて、作業工程に改善が必要な箇所がないかどうかをチェックします。

3.工場で発生する主なヒューマンエラー

安全対策が万全で、しっかりした定期点検や指導を怠らなければ、未然にトラブルやミスを防ぐことができます。工場では、そうした対策を講じなければ、思わぬヒューマンエラーが起こる可能性が考えられるからです。工場で発生する主なヒューマンエラーについてご紹介します。

3-1.故意

衛生管理者による安全対策の徹底は必須ですが、それでもマニュアルに従わず、故意にルールを遵守しないケースもあります。また、十分にルールを理解しておらず、それがヒューマンエラーにつながることも。従業員がマニュアルをきちんと守っているのにもかかわらず、一部の人によって遵守されず事故やトラブルを発生させてしまうこともあります。自分1人なら大丈夫という甘い認識を持った人がいるだけで、大きな過失を生んでしまう恐れも。こうした故意によるヒューマンエラーは、大事故へのきっかけにつながるので、注意が必要でしょう。
こうしたことを防ぐためにも、安全対策教育をしっかり行い、働きやすい環境を整えて、従業員全員にやる気や仕事への意欲を持たせることが大切です。

3-2.過失

従業員の健康について配慮することも、安全対策において大切だと考えられます。過酷な作業環境や、単純作業の連続での疲労も、ヒューマンエラーにつながることがあるでしょう。そして、過失によるミスも大事故への引き金です。技術不足による機械の操作ミスや、誤った知識によるミスなどもあります。こうした過失を防ぐためには、安全対策指導と合わせて、技術面でのバックアップも必要でしょう。衛生管理者は、従業員の様子などにも注意を払うことが大切です。

4.まとめ

工場における安全対策や衛生管理についてご紹介しました。いかがでしたか? 

  • 工場における安全対策の基本
  • 安全対策のために行われていること
  • 工場で発生する主なヒューマンエラー

工場での安全対策には、マニュアル化するなどわかりやすいルールを設けることが大切です。従業員数に応じた国家資格を持った衛生管理者の選任が義務づけられ、衛生管理者による定期的な教育や指導を行い、週1回以上の社内巡回によるチェックが、ヒューマンエラーを未然に防ぐポイントでしょう。