新入社員のストレスをケアするにはどうしたらいいの?

新入社員
新年度が始まって、3か月が過ぎました。
新入社員も仕事に慣れてきたころだと思います。
しかし、ストレスから体調を崩したりストレスが原因で退職まで考えたりする新入社員も少なくありません。
そこで、今回は新入社員のストレスをケアする方法などをご紹介します。
衛生管理者ができることとは、何でしょうか?
また、新入社員のストレスケアを行う効果などもご紹介します。
衛生管理者の方や新入社員を指導している方はぜひこの記事を読んで、新入社員とのコミュニケーションの参考にしてください。

目次

  1. 新入社員がストレスを感じやすいケースとは?
  2. 新入社員がストレスをためすぎると……?
  3. 新入社員のストレスケアはどうすればいい?
  4. おわりに

1.新入社員がストレスを感じやすいケースとは?

まず始めに、新入社員がストレスを感じやすいケースをご紹介しましょう。
「学生気分が抜けない」「甘ったれている」としかるばかりでは解決しないことが多いのです。

1-1.あこがれと現実とのギャップ

「就職氷河期」といわれたころよりは求人倍率もあがってきましたが、それでも今の学生の就職活動は厳しいです。
はやい人は、卒業の1年以上前から就職活動を始める方もいるでしょう。
また、日本の就職活動は新卒で失敗すると就職できる条件がぐっと厳しくなります。
ですから、学生のプレッシャーは相当なものでしょう。
だからこそ、就職が決まったときの喜びや仕事へのあこがれは大きいと思います。
また、職種の中には映画やドラマに何度も取り上げられて、イメージが固定化しているものもあるでしょう。
しかし、新入社員すべてが希望どおりの仕事ができるとは限りません。
さらに、イメージと現実にギャップのある職種も多いでしょう。
このギャップを埋めることができず、ストレスがたまる新入社員は少なくないのです。

1-2.自分の力不足にストレスを感じる人もいる

今の企業は、新入社員の教育に十分な時間と人員をさける余裕のあるところは少ないです。
また、昔ながらに「仕事は説明されなくても見て覚えろ」という人もいるでしょう。
ですから、新入社員によっては十分な教育を受けないうちに仕事を任される人もいます。
当然ですが、新入社員は経験を積んだ先輩社員のような仕事はできません。
ミスも多いでしょう。
そのときに、しかるばかりでフォローされなければストレスがたまります。
また、責任感が強くまじめな人ほど、自分の力不足にストレスを感じやすいでしょう。

1-3.コミュニケーションがうまくとれない

今は生活の変化が激しく、2~3歳違うだけでもギャップを感じることが多いです。
ですから、10歳~20歳も上の人とコミュニケーションをうまくとるのは大変でしょう。
また、会社や上司、同僚に対する考え方や付き合い方も世代によって異なります。
さらに、新入社員は上司や先輩から「最近の若い者は」とひとまとめにして批判される機会も多いでしょう。
ですから、コミュニケーションの取り方にストレスを感じる新入社員は意外と多いのです。

1-4.環境の変化

当たり前ですが、学生から社会人になると自分を取り巻く環境は大きく変化します。
「学生時代にアルバイトをしていた」という人でも、アルバイトと正社員では責任も待遇も違うでしょう。
また、就職をきっかけにひとり暮らしを始めると、生活環境も大きく変わります。
その変化が自分でも気づかないうちにストレスになっている場合も多いのです。
さらに、会社の寮に入った場合は休日もなかなかプライベートな時間がない、という場合もあります。
それもまた、大きなストレスになる人もいるでしょう。

2.新入社員がストレスをためすぎると……?

新入社員がストレスをためるのは、当然のことでもあります。
全くストレスを感じずに社会人1年目を過ごせたという方は、ごくわずかでしょう。
ストレスとの付き合い方を学ぶのも、新入社員の仕事です。
しかし、ストレスをためすぎると本人にも会社にも悪影響が出ます。
この項では、新入社員がストレスをためすぎるとどのような悪影響が出るか、その一例をご紹介しましょう。

2-1.仕事のミスが多くなる

ストレスがたまるとやる気や集中力が低下します。当然ミスも増えるでしょう。
社内で処理できるミスならよいのですが、仕事内容によっては顧客に迷惑がかかる可能性もあります。
また、ミスをした新入社員は当然叱られますが、それが新しいストレスとなるという悪循環におちいる可能性も高いです。

2-2.仕事への意欲をなくす

新入社員が入社後3年以内に離職してしまう確率は、大卒者が3割高卒者で5割といわれています。
ストレスが原因で退職を選んだ人ばかりではないでしょう。
しかし、特に大卒者は厳しい就職活動を勝ち抜いて就職しています。
ですから、一昔前のように「自分探し」などのあいまいな理由で退職する人も少ないでしょう。
ストレスがたまり仕事への意欲をなくすと、会社に出社するのが苦痛になる人は多いです。
ぎりぎりまで悩んだ結果、退職を選ぶ人も少なくないでしょう。

2-3.会社から人材が流出する

新入社員を採用するために、会社も労力とお金を使っています。
何度も入社試験をしたり面接をくりかえしたりするのは、企業側から見ても手間のかかることでしょう。
そうやってやっと採用した新入社員がすぐに退職しては、会社の損失も大きいです。
新入社員が育たなければ、会社の将来はありません。
それを見越して大量採用する余裕がある会社ならばよいのですが、中小企業だと新入社員の採用を取りやめるところも出てくるところもあるでしょう。

3.新入社員のストレスケアはどうすればいい?

では、新入社員のストレスケアはどのように行えばよいのでしょうか?
この項では、その方法の一例をご紹介します。

3-1.職場巡視の際に相談にのる

衛生管理者の職務のひとつに職場巡視があります。
これは、従業員が安全に衛生的に仕事ができる環境であるかチェックするものですが、そのときに新入社員の様子を注意深く観察してみましょう。
就業中なのにぼーっとしていたり、ひどく顔色が悪かったりする場合は、ストレスがたまっている可能性があります。
「何かあったら相談にのりますよ」と声をかけるだけで、新入社員の気持ちが軽くなることもあるでしょう。

3-2.産業医と面談する機会を設ける

メンタルヘルスの不調は本人が気づかないケースも多いです。
ですから、「この人は医師の診察を受けた方がよいのではないか」と衛生管理者が判断した場合は、新入社員の上司と相談のうえ産業医と面談する機会を作りましょう。
産業医が精神科医以外でも、話を聞いたうえで紹介状を書いてもらうこともできます。
また、面談の際はプライバシーに十分配慮してあげることも大切です。

3-3.古参の社員も教育する機会を設ける

40代以上の社員の中には、若い新入社員と会社や仕事に対する考え方がかなり異なる人もいます。
仕事に対する考え方は人それぞれですが、それを部下や新入社員に押し付けてはいけません。
ですから、機会があったら新入社員への接し方や教育方法を勉強する時間を設けましょう。

4.おわりに

いかがでしたか?
今回は新入社員のストレス対策についてご説明しました。
まとめると

  • 新入社員はストレスをためやすい。
  • ストレスのケアがうまくいかないと仕事への意欲を失ってしまう。
  • 衛生管理者は新入社員の話を聞いたり、産業医との橋渡し役をしたりするとよい。

ということです。
今は、昔のように仕事さえしていれば一生安心、という時代ではありません。
だからこそ、新入社員にがんばってもらうためにストレスのケアにも気を使ってあげましょう。