ブラック企業とはどんな会社? 定義や特徴をご紹介します。

ストレス数年前からニュースなどで話題になることが多くなったブラック企業。
「もしかして自分が勤めている会社はブラック企業ではないか?」と思う人も増えているそうです。
では、ブラック企業の定義とは何でしょうか?
そこで、今回はブラック企業とはどういう会社を指すのか、ということをご説明します。
ブラック企業が「当たり前」になってしまうと労働者全員が疲弊(ひへい)し、将来は日本社会全体の活力がなくなってしまうでしょう。
自分はブラック企業で働いているのではないか?と思う方や転職を考えている方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

目次

  1. ブラック企業の定義とは?
  2. ブラック企業の問題点とは?
  3. ブラック企業の見分け方とは?
  4. おわりに

1.ブラック企業の定義とは?

まず始めに、ブラック企業の定義をご紹介します。
これにひとつでも当てはまるような会社は、ブラック企業の疑いがあるのです。

1-1.労働時間が異様に長い会社

労働基準法で労働時間は1日8時間、週40時間と決まっています。
これを超えて働く場合は時間外勤務手当、いわゆる「残業代」を支払わなければなりません。
ですから、会社にはタイムカードがあり、出社時間と退社時間を記録するようになっています。
しかし、ブラック企業は「自発的な残業(いわゆるサービス残業)」や「自発的な早朝出勤」をするように圧力をかけるのです。また、ひとりでは処理できない仕事を任せ、残業をせざるを得ないようにするところもあるでしょう。
さらに、休日に研修や社内行事に半ば強制的に参加させる企業もあります。
このようなブラック企業は、タイムカードすらないところもあるでしょう。

1-2.仕事内容が誰でもきるようなもので、給料が安い会社

ブラック企業は離職率が高いです。
ですから、複雑で高度な技術が必要な会社だとたちゆかなくなってしまいます。
ブラック企業の仕事内容は、「誰でもできる」ものが多いのです。
今まで、いくつかの会社が「ブラック企業」として話題になりましたが、そのどれもが仕事に特別な技術を必要としない会社でした。
つまり、やめても代わりの人材がすぐに見つかりやすいので、社員を使い捨てるようなことができるのです。
また、仕事内容が簡単ということは、給料を低く抑える言い訳にもなります。
「がんばれば給与も上がりますよ」といわれることもありますが、実際に給与が上がることはほとんどありません。

1-3.罵声(ばせい)や怒号(どごう)がとぎれることがない会社

ブラック企業では、「モラハラ」や「パワハラ」が蔓延(まんえん)しているところが珍しくありません。
モラハラとは、その人の人格や人間性を否定すること。
パワハラは、立場を利用して無理難題をふっかけたり人格否定をしたりすることです。
パワハラやモラハラを受けた社員は委縮(いしゅく)していきます。
そして、中には心を病んで最悪の結果を選ぶ人もいるのです。
また、これとは逆にブラック企業には自分を異様に持ち上げる経営者がいる場合が少なくありません。
このような経営者は自分のやり方に自信があるため、人の意見を聞こうとしないのです。
ですから、無自覚なパワハラやモラハラを行う人が少なくありません。
さらに、「自分ができたのだから、あなたもできるはずだ」と、自分を基準とした無理難題を社員に押しつけることもあるでしょう。

2.ブラック企業の問題点とは?

では、ブラック企業がはびこるとどのような問題点があるのでしょうか?
この項では、ブラック企業の問題点と、厚生労働省の対策をご紹介します。

2-1.労働者が使い捨てにされていく

会社にとって、労働者は財産でもあります。
ですから、福利厚生を手厚くして長年がんばってもらい、給与で次世代の労働者を育ててもらうのです。
しかし、ブラック企業は社員を「使い捨てられる部品」と考えています。
つまり、使うだけ使って壊れれば解雇(かいこ)するのですね。
就職氷河期で、労働者がありあまっていた時代はこれでもよかったかもしれません。
しかし、ブラック企業に使いつぶされた社員は、今後何十年も働けたはずの時間を失います。
つまり、社会を支える労働者が育たず、日本経済全体がたちゆかなくなってしまう可能性もあるのです。

2-2.厚生労働省の取り組みとは?

厚生労働省は、2015年5月18日から従業員に違法な長時間労働をさせるなどして、年3回以上是正勧告を受けた大企業の名前を公表するようになりました。
ただし、この社名公表は複数の都道府県に支社や営業所を置く大企業に限られます。
中小企業は対象外なので、注意してください。
以前は是正勧告に従わずに種類送検した企業だけ書類送検していたので、大きな進歩でしょう。
しかし、日本の企業の7割以上が中小企業です。
ですから、厚生労働省の取り組みだけでブラック企業を完全に撲滅(ぼくめつ)させることは難しいでしょう。

3.ブラック企業の見分け方とは?

では最後に、ブラック企業の見分け方やブラック企業に入社してしまった後の対処法をご説明します。
ぜひ参考にしてみてください。

3-1.常に求人が出ている会社には気をつけよう

ブラック企業は常に人員不足です。
ですから、いつもハローワークや求人情報誌、求人情報サイトで従業員を募集しているところが多いでしょう。
また、求人票の書き方にも特徴があります。
給与がほかの会社に比べて少なかったり、休日が「社内カレンダーに準ずる(製造業や飲食店はのぞく)」と書いてあったりする企業は危ないです。
また、「アットホームな職場です」「体力勝負ですが、がんばれば夢がかないます」「みんなで幸せになりましょう」など、抽象的な誘い文句が書いてある企業はブラック企業の可能性が高いでしょう。

3-2.面接がいいかげん

ブラックが企業は、社員の人となりなど問題にしていません。
一定期間文句もいわずに働いてくれればそれでよいのです。
ですから、面接をする際も健康的で丈夫そうな人ならば、即採用という企業もあります。
また、若い社員が圧迫面接をしてくるところもあるでしょう。
さらに、給与や休日、福利厚生などには一切触れず、「一緒に夢をかなえよう」「働くことは君の成長につながる」と抽象的なことをいってくる会社もあります。
そして、ブラック企業は会社全体がピリピリしていたり、来客の前でも部下や社員をどなったりしていることが多いです。
ですから、面接に訪れたときに「怖そうな会社」「厳しそうな会社」と印象を抱く会社は要注意でしょう。

3-3.ブラック企業をやめたいときは?

ブラック企業にがまんして勤めていると心身ともに疲れ果て、やがてまともな判断が下せなくなってしまいます。
ですから、たとえ入社1日目でも給与や休日の条件が募集要項と違っていたり使用期間中は雇用保険に加入してくれなかったりする場合は、辞表を出しましょう。
すでにブラック企業に勤めていてやめたくてもやめさせてもらえない場合は、各都道府県にある労働団体やユニオン、日本労働弁護団などに相談してください。
相談窓口が設けられているので、誰でも相談できます。
なお、やめる1か月前に辞表を出せば違約金などは発生しません。
「やめるならば、会社に迷惑をかけたお詫(わ)びにお金を払え」というようなことをいわれた場合は、れっきとした脅迫です。
また、未払いの残業代がある場合はタイムカードの記録をコピーしておきましょう。
やめた後でも請求できます。

4.おわりに

いかがですか?
今回はブラック企業の定義や見分け方についてご説明しました。
まとめると

  • ブラック企業とは社員を使いつぶしていく会社である。
  • 残業代が出ない、休日出勤が頻繁(ひんぱん)な会社はブラック企業の可能性が高い。
  • 求人情報がずっと出続けている企業はブラック企業の可能性が高い。

ということです。
ブラック企業に勤め続けていても将来はありません。
訴えても職場環境が改善しない場合は、退職も視野に入れましょう。