衛生工学衛生管理者とは ? 衛生管理者の役割

国家資格である衛生管理者。その資格の中でも、「衛生工学衛生管理者」というものがあります。この資格は、衛生管理者の中でも業務内容が広い管理者のひとつです。
この記事では、衛生工学衛生管理者について説明していきましょう。

目次

  1. 衛生管理者とは
  2. 衛生工学衛生管理者の役割
  3. 衛生工学衛生管理者になるには
  4. 試験の難易度
  5. 衛生工学衛生管理者の対策
  6. まとめ

1.衛生管理者とは

1-1.衛生管理者とは

衛生管理者とは「労働安全衛生法」において定められている国家資格のひとつです。
労働環境の衛生的改善・疾病の予防処置等が主な仕事で、事業場の衛生全般の管理することになります。
この衛生管理者は、事業場の規模によって衛生管理者免許等・資格を有する者から選任することが義務付けられているのです。

  • 0~49人…必要なし
  • 50~200人…1人
  • 201~500人…2人
  • 501~1000人…3人
  • 1001~2000人…4人
  • 2001~3000人…5人
  • 3001人以上…6人

衛生管理者免許には、業務の範囲が広い順に衛生工学衛生管理者・第1種衛生管理者・第2種衛生管理者の3種類があります。

1-2.衛生管理者の業務

衛生管理者の業務として、週1回以上の定期巡視が義務付けられているのです。
作業場などを巡視したとき、以下のような問題があるとき対処します。

  • 設備・作業方法に健康への有害性がある場合。
  • 健康に異常のある労働者を発見したとき、その労働者への対応。

また、労働者の健康障害を防止するのが衛生管理者の仕事。そのため、労働者に対して健康に関する忠告を行う権限を、事業主が衛生管理者に与えるようになっています。

1-3.衛生管理者のニーズ

衛生管理者に求められる役割はますます進み、特にメンタルヘルス不調者への対応が課題となっています。また、就業制限が必要な従業員と現場との調整業務なども、重要な業務になっているのです。

2.衛生工学衛生管理者の役割

衛生工学衛生管理者とは、衛生管理者の仕事に加え工学技術の知識を生かした仕事を行います。作業環境を改善するため、事業現場の点検・改善指導等を工学の観点から行う専門家です。特に、有毒ガス・蒸気・粉じんなどが発生する仕事現場で需要があります。

3.衛生工学衛生管理者になるには

3-1.衛生工学衛生管理者の試験を受ける条件

衛生工学衛生管理者免許の試験を受けるには、以下の条件のうちどちらかに該当しなければいけません。

  • 大学、または高等専門学校において工学または理学に関するカリキュラムを修めて卒業した者
  • 第1種衛生管理者免許試験に合格した者(保健師・薬剤師の資格による免許取得者は対象外)
  • 大学において、保健衛生に関する学科を専攻し、労働衛生に関する科目を修めて卒業したもの(指定大学のみ)
  • 労働衛生コンサルタント(保健衛生・労働衛生工学)試験に合格した者
  • 作業環境測定士となる資格を有する者

以上の条件に当てはまる人は、厚生労働大臣の定める講習を受けて修了試験に合格すれば、免許を取得できます。所持資格により一部科目免除が適用され、所要日数は最短で半日、最長で5日に分かれるようです。

3-2.衛生管理者の第1種・第2種の免許を取るには

第1種・第2種衛生管理者免許は、厚生労働大臣の指定する指定試験機関の免許試験に合格することで認定されます。
現在では、財団法人安全衛生技術試験協会が唯一の指定試験機関です。受験には資格が必要であり、以下のようなものがあります。

  • 大学(短期大学を含む)または高等専門学校を卒業し、1年以上労働衛生の実務に従事した者
  • 高等学校または中等教育学校を卒業し、3年以上労働衛生の実務に従事した者
  • 10年以上労働衛生の実務に従事した者

労働衛生の実務経験には、以下のようなものが当てはまるようです。

  • 健康診断実施に必要な事項または結果処理の業務
  • 測定等作業環境での衛生調査業務
  • 作業条件・施設等での衛生改善業務
  • 労働衛生保護具・救急用具等の点検および整備の業務
  • 衛生教育の企画・実施に関する業務
  • 労働衛生統計の作成に関する業務
  • 看護師または准看護師の業務
  • 労働衛生関係の作業主任者としての業務
  • 試験研究機関における労働衛生関係の業務
  • 自衛隊の衛生担当者・衛生隊員の業務
  • 保健所職員のうち、試験研究に従事する者の業務
  • 建築物環境衛生管理技術者の業務

4.試験の難易度

衛生工学衛生管理者の試験の難易度は、それほど高くないと言われています。しかし、免除科目がない場合には講習は5日間に及ぶことになるようです。
全体の合格率は、平均して85%以上になっています。

5.衛生工学衛生管理者の対策

5-1.習ったことは何度も復習する

講習中に何度も説明するところはしっかり復習しましょう。講義をきちんと聴いて、大事な部分を復習すれば問題ありません。

5-2.ポイントをメモする

講習などでは、さいごに大事なポイントを言ってくれることが多いです。そうしたポイントは、確実に目を通してできるだけ覚えるようにします。

  • 時間を掛けて説明するところ。
  • 繰り返し説明するところ。
  • たとえ話・実例・体験談をしながら説明したところ。
  • 別の講義でも重複して説明するところ。

以上の部分は、しっかり確認をしておきましょう。

5-3.インプットの時間を取る

厚労省の講習を受ける前に、事前に勉強をしておく必要があります。そのとき大事にしたいのがインプットの時間。
インプットとは、基礎知識を理解して記憶する時間のことです。講習やテキストで勉強した単語や内容を、ただ聞いたり書いたりするだけでは覚えることはできません。必ず、自分の中で咀嚼(そしゃく)する時間が必要です。
自分でもしっかりと勉強するクセは付けていきましょう。

5-4.過去問などを解いてアウトプットを行う

単語などをしっかりインプットしたあとは、過去問などを通してアウトプットを行います。インプットを行っただけでは試験に合格はできません。問題や出題傾向に慣れておかないと、試験で時間内に問題は解けないからです。
覚えるだけでなく、問題を解くことを怠らないようにしましょう。

5-5.出題傾向を把握する

過去問を解くときに、やみくもに問題を解いてはいけません。テキストや講習で何度も聞いた単語を重点的に押さえていきます。
また、試験には傾向があるので、そうしたポイントを押さえて無駄のない勉強をしていきましょう。

6.まとめ

いかがでしたか?
この記事では衛生工学衛生管理者に関する情報を掲載しました。さいごに、衛生管理者の情報を含めながらまとめておきましょう。

  • 衛生管理者は、国家資格のひとつである。
  • 業務内容は、労働現場の衛生面の管理。
  • 衛生工学衛生管理者は、工学面からのサポートも行う。
  • 衛生工学衛生管理者は、大学などで工学の課程を修了していないと、受験することができない。
  • しっかり勉強しておけば、合格不可能な資格ではない。
  • インプット・アウトプットの時間を取る。
  • 講習中のポイントをしっかり押さえる。
  • 出題傾向を押さえながら、過去問を解いていく。

衛生工学衛生管理者は、衛生管理者のひとつです。業務内容として大きく違う内容はそこまでありませんが、工学技術を用いて労働環境の改善を行う役職となります。
しっかりと試験勉強を行い、確実に免許を手に入れましょう。