食品工場の改善活動とは？ 改善すべき問題点や事例を詳しく紹介！

1．食品工場が抱えている問題点

最初に、食品工場がどんな問題点を抱えているか詳しく見ていきましょう。

1-1．食材の大量廃棄

食品工場では、生産計画に狂いが生じると食材や製品の大量廃棄につながります。食材や製品には消費期限があり、さらに企業ごとに独自の出荷基準があるため、まだ十分に口にできるものでも廃棄処分となることもあるでしょう。食材や製品の大量廃棄は企業にとって大きな損失となるため、極力出さないことが重要です。

1-2．食中毒や感染症の発生

食中毒や感染症の発生も、食品工場が抱えている大きな問題点になります。食品工場は消費者が口に入れるものを取り扱うことから、衛生管理について最も頭を悩ませているものです。万が一、管理不足のために食中毒や感染症が発生した場合、工場の稼働停止および製品の回収などが必要になり、企業にとって大打撃となります。また、一度でも食中毒や感染症が発生した食品工場は、不衛生だとのレッテルを貼られてしまうため、信用回復に相当な時間を費やすことになるでしょう。

1-3．異物混入

食品工場では、異物混入も大きな問題です。たとえば、製造機械の小さな破片や昆虫、包装資材の切れ端などが混入してしまうことがあります。異物混入は、食中毒や感染症の発生と同様に企業の信用を大きく落とすことから、絶対に避けることが大切です。また、異物混入が発覚した場合は、同時期に生産した製品を大量に回収することになり、多額の損害が発生します。多くの場合、製造工程に何らかの原因があるので、きちんと問題点を把握し、改善することが大切です。

1-4．従業員のモラル不足

食品工場では、従業員のモラル不足も大きな問題になることがあります。規定の服装を守らない、手洗いをしっかり行わないなど、食品工場の従業員としての自覚不足が原因です。また、消費期限を過ぎた食材を使用したり、不良品をそのまま出荷したりなどの問題もあります。さらに、食中毒および感染症の発生や異物混入の原因になることもあり、想像以上に深刻です。

2．食品工場の改善活動が重要な理由は？

食品工場の改善活動が重要な理由について、詳しく解説します。

2-1．生産効率の向上

食品工場の改善活動を進めることは、生産効率の向上につながります。同じ稼働時間で多くの製品を作れるようになれば、生産効率が向上してより大きな利益を生むことが可能です。また、従業員の残業や休日出勤が減ることで人件費を削減でき、工場の稼働時間を短縮することで光熱費なども節約できます。

2-2．不良率の削減

不良率の削減も、食品工場が抱える問題の一つです。規定のサイズや重量に満たない、形や色が悪いなど、食品工場ではさまざまな不良品が発生します。せっかく作っても不良率が高いのでは、食材が無駄になるだけでなく人件費などが余分にかかってしまうのが困りごとです。不良品の発生を防ぐためにも、各工程の作業内容を見直し、改善することが必要になります。

2-3．食中毒や感染症の予防

食中毒や感染症の予防には、徹底した衛生管理が必要不可欠です。衛生的な生産環境を実現・維持できれば、食中毒や感染症の予防に大きな効果が見込めます。そのためにも、まずは、食材の適切な保管方法だけでなく、食材の保管場所や工場設備の衛生管理などを徹底したり従業員の衛生チェックを厳しくしたりすることが必要です。

2-4．従業員の意識改革

食品工場の改善活動は、従業員の意識改革にも大きな影響を与えるものです。本来こうあるべきだという姿をきちんと示すことで、従業員のやる気がアップし高い意識を持ってもらうことができます。実際に、従業員がやる気を持って取り組んでいる企業とやる気がなく適当な仕事をしている企業では、大きな差があるものです。適切な改善活動を行い、従業員の意識改革を進めていきましょう。

2-5．企業イメージの向上

食品工場の改善活動を徹底することで、企業イメージの向上につながります。消費者は、衛生管理の行き届いた工場で作られているからこそ食品を安心して購入し、口にできるのです。衛生管理を徹底していることや、日々改善活動に励んでいることなどをアピールできれば、企業イメージがグンと向上します。企業イメージがよくなれば、安定した売り上げが見込めるのも大きなメリットです。

3．食品工場の改善事例を紹介

食品工場の改善事例を具体的に4つご紹介しましょう。

3-1．不用品の処分と整理整頓で生産効率が向上したA社

A社では、工場内の整理整頓ができておらず、常に不用品が大量にある状態でした。不用品が工場のスペースを圧迫していたため動線が悪く、生産効率が大幅に下がっていたのです。そこで、不用品をすべて処分して必要なものだけを残し、工場内のレイアウトを見直しました。同時に、従業員に整理整頓の大切さを教え、常に片付けてもらうようにしたのです。すると、みるみる生産効率が高まり、企業利益の増大につながりました。

3-2．作業マニュアルの見直しで不良率が激減したB社

B社では、不良率が高いことが大きな問題でした。そこで、作業マニュアルを見直し、難しい表現や分かりづらい指示内容を改善して誰でも簡単に理解できるようにしたのです。すると、配属になったばかりの新人従業員でもすぐに作業を覚えることができるようになりました。また、以前からいる従業員もケアレスミスがほとんどなくなり、不良率を激減させることに成功したのです。

3-3．「報・連・相」の徹底で問題点の把握と改善に成功したC社

C社では、従業員同士のコミュニケーション不足のために、何らかの問題が発生してもきちんと報告されずに放置されてしまうことが多発していました。そこで、従業員に「報・連・相」の重要性を説明し、普段から徹底してもらうようにしたのです。すると、ギスギスしていた雰囲気がよくなり、従業員同士のコミュニケーションも活発になりました。問題点の把握もしやすくなっただけでなく、すぐに対策ができるため生産効率も高まって一石二鳥です。

3-4．従業員の手洗い方法や回数を見直したD社

D社では、感染症の流行を踏まえて従業員の手洗い方法や回数を大幅に見直しました。さらに、定期的に衛生教育を実施し、正しい手洗いの重要性やメリットを従業員に理解してもらうことにしたのです。最初のうちはやり過ぎではないかという意見も聞かれたものの、徐々に受け入れる従業員が増えてきました。そのおかげで、工場における食中毒の発生および感染症の流行を現在まで抑えることができています。

4．食品工場の改善活動に関するよくある質問

最後に、食品工場の改善活動に関する質問に回答します。それぞれ確認してください。

Q．食品工場の清掃は専門業者に外注できる？
A．可能です。プロの手により工場の稼働時間外に掃除してもらうことで従業員の負担が減り、衛生管理がスムーズに進むことでしょう。ただし、食品工場の清掃で豊富な実績があるなどさまざまなポイントをチェックし、信頼できると判断した業者に依頼してください。

Q．従業員に改善活動の理解を深めてもらうポイントは？
A．定期的に衛生教育を行うと同時に、衛生管理をきちんと行うことで自分たちにどんなメリットがあるか伝えることが大切です。たとえば、生産効率が上がれば無駄な残業が減る、高品質な製品を生産できれば売り上げが増加して給料アップにつながるなど、具体的に例示するとよいでしょう。

Q．食品工場で改善活動の効果が実感できるのはいつから？
A．一概にはいえません。改善活動の効果は、毎日の積み重ねにより徐々に出てくるものです。したがって、1か月単位で効果を見つつ、さらなる改善を重ねていく必要があります。

Q．食品工場の改善活動は誰が主導すべきか？
A．衛生管理者が適任です。衛生管理者は、職場の衛生管理や差環境管理・従業員の衛生教育などが主な職務になります。衛生管理者に関するより詳しい内容は、公益財団法人安全衛生技術試験協会のホームページを参考してください。

Q．衛生管理者免許の取得方法は？
A．第一種および第二種衛生管理者については、国家試験に合格後に申請することで取得できます。ただし、学歴や実務経験など一定の受験資格があるため、誰でも受験できるわけではありません。なお、食品工場で衛生管理者として業務を行うためには、上記のうち第一種衛生管理者免許が必要です。

まとめ

今回は、食品工場の改善活動について詳しく解説しました。食品工場の生産効率を高め、食中毒や異物混入などの事故を防ぐためには、さまざまな改善活動を進める必要があります。まずは、現状でどんな問題点があるかきちんと把握し、必要な改善活動を行っていきましょう。食品工場の改善活動がうまくいけば、生産効率が向上して企業の利益拡大につながります。そのためにも、工場の環境改善を進めたり従業員に衛生教育を行ったりすることなどが大切です。