【最新版】衛生管理者と衛生工学衛生管理者の違いを解説! 仕事内容にどんな違いがある?
衛生工学衛生管理者とは、職場で有害ガスや蒸気・粉じんなど健康に影響を与える要素が発生する場合に、衛生管理を行う資格です。第一種衛生管理者の場合、4日間の講習を受けることで取得できます。しかし、「衛生管理者と衛生工学衛生管理者の違いが分かりづらい」という方もいます。
そこで、今回は衛生管理者と衛生工学衛生管理者の違いを解説します。
この記事を読めば、両者の違いや衛生工学衛生管理者の資格取得方法などがよく理解できます。衛生管理者を目指す方や衛生工学衛生管理者に興味のある方は、ぜひお読みください。
1.衛生工学衛生管理者と衛生管理者の違いは?
はじめに、衛生工学衛生管理者と衛生管理者の違いについて詳しく解説していきます。
1-1.衛生管理者とはどのような資格?
衛生管理者とは、従業員が健康かつ衛生的に仕事ができるよう、職場環境を整える職務を担うための国家資格です。職種問わず、従業員が50名以上所属している事業所には、選任が義務づけられています。衛生管理者は、職場巡視・健康診断の準備や結果の管理・ストレスチェックの補助などが主な業務です。また、必要ならば産業医と従業員の橋渡し役をすることもあります。
衛生管理者は、従業員の雇用形態などに関わらず、50名以上が所属している事業所にはすべて選任義務がある資格です。そのため、取得すれば転職等に役立ちます。衛生管理者には第一種・第二種があり、第一種はすべての職場で衛生管理が可能です。第二種は、小売業など業務が健康に悪影響を与える可能性の少ない業種で衛生管理を行うことができます。
1-2.衛生工学衛生管理者とはどのような資格?
前述したように、衛生工学衛生管理者とは有毒ガスや粉じん・蒸気等体に有害な因子を発散させる職場で衛生管理を行うことのできる資格です。これらの業務は、「法定の有害業務のうち一定の業務を行う有害業務事業場」と定められています。このような事業所は、安全対策を十分に行っていても健康被害が出る可能性があるのです。そのため、衛生管理には有害物質等の専門的な知識が求められます。
衛生工学衛生管理者の資格は、講習を受講すれば取得可能です。ただし、講習を受講するには第一種衛生管理者・労働衛生コンサルタント・作業環境測定士の資格を取得するか、大学や高等専門学校で理学か工学の学科を卒業しておく必要があります。
1-3.衛生管理者と衛生工学衛生管理者の違い
衛生管理者と衛生工学衛生管理者の仕事は、ほぼ一緒です。しかし、前述したように、衛生工学衛生管理者の選任が義務づけられている職場は、健康被害が起こるリスクがより高くなっています。ですから、衛生管理も有害因子に関する知識が必要です。職場によっては、衛生工学衛生管理者と衛生管理者の両方を選任することもあります。また、選任する方も衛生管理の経験と知識の両方を持った人を求めているのです。
2.衛生管理者・衛生工学衛生管理者を取得する方法
この項では、衛生管理者と衛生工学衛生管理者の資格を取得する方法を紹介します。
2-1.衛生管理者の資格を取得する方法
衛生管理者を取得するには、2つの方法があります。1つは、安全衛生技術試験協会が主催する試験に合格する方法です。もう1つは医師・薬剤師・保健師などの資格を取得し、各都道府県の労働局に申請を行う方法であり、こちらは申請すれば第一種衛生管理者を取得できます。
2-2.衛生管理者の試験について
衛生管理者の試験は、全国の安全衛生技術センターでほぼ毎月実施しています。国家試験の中では最も回数が多い試験です。また、東京や大阪など大都市にあるセンターでは、月に複数回試験が行われます。1年間に何度試験を受けてもかまいません。その一方で、試験会場には一定のキャパシティが設けられ、会場がいっぱいになると試験を申し込める期間の最中でも募集が締め切られます。ですから、土日祝日に試験を受けたい場合は、早めに申し込みを行うことが大切です。試験日の1か月前から申し込みができるので、まずは安全衛生技術試験協会のホームページから、正確な試験日を確認しましょう。
なお、年に1度、安全衛生技術センターがない県でも出張試験が行われます。センターが遠方という場合は出張試験を利用してください。
2-3.衛生管理者試験の受験資格と申し込み方法
衛生管理者の資格試験は、衛生管理の実務経験がなければ得られません。実務経験の長さは、学歴によって異なります。詳しくは、安全衛生技術試験協会のホームページを確認してください。
受験資格を満たしている人は、全国の安全衛生技術センターや安全衛生技術試験協会で配布されている願書に必要事項を記入し、実務経験を証明する書類と学歴証書(卒業証書など)を添付して、試験を受けたい安全衛生技術センターに送付しましょう。電子申請は行っていません。受験料は、第一種・第二種とも6,800円です。
2-4.衛生管理者試験の勉強方法
衛生管理者の試験科目は、
- 労働衛生
- 関係法令
- 労働生理
の3科目です。第一種も第二種も科目は変わりません。試験は過去問と似たような問題が出されることが多いので、独学で勉強する場合は、過去問題をくり返し解くといいですね。なお、第二種を取得している人が第一種の試験を挑戦する場合、科目の一部が免除されます。
2-5.衛生工学衛生管理者の取得方法
衛生工学衛生管理者は、各地の安全衛生教育センターが実施する講習を受けて修了試験に合格すれば取得できます。衛生工学衛生管理者講習の受験資格者は、以下のようなものです。
- 労働衛生コンサルタント(労働衛生工学・保健衛生)
- 作業環境測定士
- 第一種衛生管理者(第二種は不可)
- 大学や高等専門学校で理学・工学を専攻した人
なお、講習は半日~5日まであり、取得している資格によって日数が変わります。詳しくは、中央労働災害防止協会のホームページを確認してください。
3.衛生管理者や衛生工学衛生管理者に関するよくある質問
この項では、衛生管理者や衛生工学衛生管理者に関するよくある質問を紹介します。
Q.第一種衛生管理者の資格を取得すれば、すぐに衛生工学衛生管理者の講習を受講できるでしょうか?
A.はい。大丈夫です。
Q.衛生工学衛生管理者の資格を持っていれば、衛生管理者として働くことはできますか?
A.はい。衛生管理者として働くことも可能です。
Q.第一種衛生管理者の資格を取得した後は、衛生工学衛生管理者の資格もすぐに取得したほうがいいでしょうか?
A.第一種衛生管理者の有資格者が衛生工学衛生管理者の試験を取得するためには、4日間の講習を受けなくてはなりません。まずは受講できる環境を整えましょう。焦る必要はありません。
Q.衛生管理者の試験はどこで受けても大丈夫ですか?
A.はい。全国どこで受けてもかまいません。
Q.衛生管理者は、アルバイトでも選任することは可能ですか?
A.いいえ。基本は正社員でなければダメです。ただし、第二種衛生管理者が衛生管理を行える職種については、長期契約を結んだ派遣社員ならば選任できます。
まとめ
今回は衛生管理者と衛生工学衛生管理者の違いなどについて解説しました。有害業務事業場で衛生管理を行う際は、衛生工学衛生管理者の資格が必要です。取得すれば仕事の幅も広がります。ただし、講習は長ければ5日間にわたるので、計画的に取得しましょう。