金属熱って何!? 危険な症状を予防するために必要なことを知る!

「金属熱」と呼ばれる症状があることをご存じですか? 亜鉛や銅などの粉塵(ふんじん)を吸い込むと生じる症状のことで、職業性疾病に分類されます。後遺症の報告もなく比較的早い回復が見込めますが、現場の環境が改善されない限り繰り返し発症する恐れがあるでしょう。金属熱が発生しやすい現場の衛生管理者は、どのように管理するべきかしっかりと学んでおく必要があります。この記事では、金属熱の症状や原因、予防法などをまとめてご紹介しましょう。

  1. 金属熱とは?
  2. 金属熱の原因と症状について
  3. 金属熱を予防するには?
  4. 金属熱と衛生管理者について
  5. 金属熱に関するよくある質問

この記事を読むことで、金属熱について知ることができます。衛生管理者の資格取得を目指している人も、ぜひ参考にしてください。

1.金属熱とは?

まずは、金属熱について解説します。

1-1.どんなものか?

金属熱とは「金属ヒューム熱」とも呼ばれる急性の中毒症状です。金属ヒュームとは金属蒸気の凝集物のことで、恒常的に吸い込み続けるとさまざまな体調不良が現れます。

1-2.起こりやすい現場とは?

金属熱が発生しやすいのは、主に溶接作業や合金製造を行う現場です。具体的には、蓄電池の製造および解体・ハンダつけ・溶接・塗装などの作業を行う職業の人に起こりやすい症状といわれています。

1-3.金属中毒との関連について

金属熱は、金属中毒の一種です。金属中毒とは、金属が体内に取り込まれることによって起こる中毒症のことで、肝臓や腎臓・神経・呼吸器・消化器・骨・皮膚などに障害を引き起こします。吸い込んだ金属の量が多かった場合はショック状態に陥ることもあり、大変危険です。

2.金属熱の原因と症状について

金属熱の原因や主な症状についてまとめました。

2-1.原因

金属熱が発生するメカニズムについては、明確になっていません。酸素と結合した金属ヒュームを吸い込むことで肺に沈着し、異物と判断した体がアレルギー反応を起こすというのが一つの説です。換気、マスクの着用、定期的な汚染濃度の検査などをしていない環境で作業を行うことが、金属熱発症の原因になることは確かでしょう。

2-2.主な症状

金属熱は、口の渇きや金属味といった初期症状から始まります。次いで発熱・悪寒が起こり、異常な発汗や吐き気・脱力感・筋肉痛・だるさなどの症状が現れるのが一般的です。いずれの症状も1~3日程度で改善され、後遺症をもたらすことも慢性化することもないと考えられています。

2-3.注意が必要な物質や金属とは?

特に注意が必要なのは、亜鉛やカドミウム・水銀・銅などです。無害で安全なイメージが強い鉄やステンレスでも金属熱を発症することがあるため、注意してください。

3.金属熱を予防するには?

金属熱を予防する方法をご紹介します。

3-1.管理について

金属熱の発症を防ぐために、発生する金属ヒュームを吸い込むことがないようしっかりと現場で管理する必要があります。たとえば、金属ヒュームが拡散しないように、発生源となるシステムを集塵(しゅうじん)ブースで囲んで密閉するとよいでしょう。また、排気装置の設計についてもよく検討した上で行う必要があります。

3-2.予防するには?

最も手軽な対策は、作業者が防塵(ぼうじん)マスクを使用するよう徹底することです。安全衛生管理の徹底がなされていない現場では、防塵(ぼうじん)マスクの装着が不完全な場合が多くなっています。排気装置の設置と合わせて防塵(ぼうじん)マスクの使用を徹底するなど、何重もの対策が必要だということを覚えておきましょう。

4.金属熱と衛生管理者について

金属熱の発生を予防する上で、衛生管理者の役割は重要です。その必要性や法律についてまとめました。

4-1.法律について

労働安全衛生法により、一定規模以上の事業場において衛生管理者を選任することが義務づけられています。衛生管理者とは労働環境の衛生的改善と疾病の予防処置を担当する国家資格所有者のことです。衛生管理者を選任しなかった場合は、50万円以下の罰金を支払わなければなりません。

4-2.決まりごと

その事業場で働く人数によって、選任する衛生管理者の人数は変わってきます。たとえば、50人以上200人以内の事業場であれば1名、201人以上500人以内であれば2名の衛生管理者が必要です。また、第一種衛生管理者と第ニ種衛生管理者があり、労働災害の可能性が高い業種では第一種衛生管理者を選任しなければなりません。

4-3.衛生管理の必要性について

衛生管理者の業務は、労働者が安全で衛生的に働けるように職場環境を整えることです。特に、金属熱の発生が懸念されるような現場では、衛生管理者は大変重要な役割を果たします。換気の状態などを定期的にチェックし、有害な物質によって労働者の健康が悪影響を受けていないかを確認するのです。企業にとって必要な資格であるため、取得をすすめられる人も多いでしょう。

5.金属熱に関するよくある質問

「金属熱について知りたい」という人が感じる疑問とその回答をまとめました。

5-1.金属熱の治療法にはどのようなものがありますか?

A.脱水に対して点滴を行う、二次感染を予防するために抗生物質が使用されるなど、基本的には対症療法が中心となります。

5-2.金属ヒュームは目に見えますか?

A.1~数ミクロンほどの大きさなので、白い煙のように見えることもありますし、目に見えない場合もあります。

5-3.金属熱は熱中症と関係がありますか?

A.熱中症とは関係ありません。しかし、症状が似ている部分も多いため、間違えた対処をしないように気をつける必要があるでしょう。

5-4.衛生管理者に向いているのはどんな人ですか?

A.常に労働環境や衛生面に対して敏感である必要があります。改善が必要な箇所に対してその必要性を訴えられる強さを持っていて、気配りや思いやりのある人に向いているでしょう。

5-5.第一種衛生管理者の合格率はどのくらいですか?

A.合格率は50%以上です。ほかの国家資格に比べて合格しやすい試験といえるでしょう。

まとめ

いかがでしたか? 金属熱という言葉を知らなかった人も多いのではないでしょうか。特定の現場では、常に危険にさらされながら働いている人もいるのです。労働者を金属熱の危険から守るためにも、衛生管理者が必要であるということがお分かりいただけたと思います。資格取得を検討している人も、ぜひこの記事を参考にしてみてください。