衛生管理者として病院で働こう! 資格取得のポイントを伝授!
衛生管理者は、今注目の資格のひとつです。資格を取得することで、病院で活躍することも可能になります。医師や看護師の資格が無くても病院で働いてみたい人は、衛生管理者を目指すことも考えてみましょう。病院における衛生管理者については、存在意義の見直しが進んでいる今がチャンスです。
今回は、資格取得のために必要なことを詳しく解説することにします。記事を読んでじっくり学ぶことで、衛生管理者への道が近づくことでしょう。
衛生管理者資格を取得するためには、基本を理解するだけでなく受験テクニックも知るべきです。記事を読んだ人は、資格を確実に手に入れるために必要なことを身に付けることができます。本気で衛生管理者になりたい人は、ぜひ読んでください。必ず役に立つことでしょう。
1.病院における衛生管理者について
病院における衛生管理者について、基本を学びましょう。衛生管理者の目的や重要性・活動内容などについて理解してください。
1-1.病院に衛生管理者を置く目的
衛生管理者は、常時50人以上の労働者がいる職場に選任義務があり、病院も対象になります。大きな病院では、医師や看護師を含めて50人以上の労働者が働くことになるため、衛生管理者を置く必要があるのです。病院で働く人たちが、衛生管理の行き届いた環境で安心する目的で衛生管理者が存在しています。
1-2.衛生管理者の重要性
病院にとって、衛生管理者は重要な意味を持ちます。医療従事者の労働環境を適正に維持するためにも、衛生管理は必要です。病院は、厳しい労働条件が重なりがちと言えます。そこで、衛生管理者がいることで危機管理要員としての意味を持つのです。病院の衛生管理をきちんとすることで、医療従事者が安心して働くことができるだけではありません。患者にとっても、質の高い医療を受けることができるというメリットがあるのです。
1-3.衛生管理者の活動について
病院での衛生管理者の活動は、主に以下のようなものになります。
- 病院の衛生管理にかかわる巡視(週に1回以上)
- 安全衛生教育の実施
- 健康診断の実施
- 労働災害の防止と改善・指導
- 労働衛生にかかわる教育・自主活動の推進
衛生管理者がいることで、病院の労働環境が衛生的で快適な状態に維持することができます。医師や看護師など、医療従事者が快適な環境で職務に専念するためにも重要な活動をしていると考えましょう。
1-4.病院における衛生管理者に関する注意点
病院における衛生管理者は、医療従事者の安全衛生を管理し適切な職場環境を整えることが職務となります。しかし、医療現場は人手不足により常に労働災害の危険と背中合わせとなっているものです。病院での衛生管理は、院内感染のリスクを少なくして医療従事者が安心して仕事に取り組む環境を作る必要があります。病院も、ひとつの労働団体です。衛生管理者が職場改善や維持をすることの重要性を認識しましょう。
2.衛生管理者の免許や資格について
衛生管理者の免許や資格について解説します。取得条件や種類・メリットなどを確認してください。
2-1.衛生管理者の取得条件
厚生労働大臣が指定する国家試験に合格することが条件となります。なお、衛生管理者を受験するためには、「大学・短期大学もしくは高等専門学校を卒業して1年以上労働衛生の実務に従事していること」など、受験資格を満たしていることが必要です。また、第一種衛生管理者については、保健師や薬剤師などの資格保持者は無試験で資格取得が可能となります。
2-2.衛生管理者の種類
衛生管理者には、以下の3種類が存在します。
- 衛生工学衛生管理者
- 第一種衛生管理者
- 第二種衛生管理者
なお、病院で働く場合は、第一種衛生管理者資格が必要となります。第二種衛生管理者資格だけ持っている人は、第一種を改めて受験してください。
2-3.衛生管理者取得のメリット
衛生管理者取得には、下記のようなメリットがあります。
- 需要が高いため就職・転職・再就職に有利になる
- 医療従事者でなくても病院で働くことができる
- 即戦力として現場で活躍できる
- 資格手当てが付くなど給料面で有利になる
労働者が50人以上の職場では、衛生管理者を必ず選任する義務があります。そのため、衛生管理者が活躍できる職場の数は多いと言えるのです。職場の衛生管理のプロフェッショナルとして活躍したい人は、取得を目指す価値が十分にあると考えましょう。
3.衛生管理者の資格取得について
それでは、衛生管理者の資格取得方法について詳しく解説します。受験のために必要なことですから、しっかり確認しておきましょう。
3-1.衛生管理者の受験資格について
衛生管理者には、細かくわけると16区分もの受験資格があります。主なものについては、下記を参考にしてください。
- 大学を卒業後労働衛生に関する実務経験が1年以上あること
- 高校を卒業後労働衛生に関する実務経験が3年以上あること
- 大学・高校などの学歴を問わず労働衛生に関する実務経験が10年以上あること
実際に受験をするときには、事業者証明書の添付などで受験資格があることを証明する必要があるので注意しましょう。なお、受験資格についてのより詳しい情報は下記も参考にしてください。
公益財団法人安全衛生技術協会の第一種・第二種衛生管理者受験資格案内ページ
3-2.衛生管理者の試験概要
試験概要に関しては、以下を参考にしてください。
- 申し込み方法:受験地域の安全衛生技術センターへ郵送もしくは直接申し込み
- 試験日:試験会場により毎月1回から4回程度実施
- 試験地:東京都・北海道・宮城県・千葉県・愛知県・兵庫県・広島県・福岡県
- 試験日程:試験日の13時30分から16時30分までの3時間で全科目を受験
- 試験費用:6,800円
上記のほかにも、年に1回程度「出張試験」により各都道府県の指定会場にて受験ができることもあります。
3-3.衛生管理者の試験科目
試験科目については、以下を参考にしてください。
- 第一種衛生管理者:労働衛生(有害業務)・労働衛生(有害業務にかかわるもの以外)・労働生理・関係法令(有害業務)・関係法令(有害業務にかかわるもの以外)
- 第二種衛生管理者:労働衛生(有害業務にかかわるもの以外)・労働生理・関係法令(有害業務にかかわるもの以外)
第一種と第二種の違いは、有害業務にかかわるものが試験範囲であるかどうかという点になります。病院での業務を希望する人は、第一種衛生管理者を受験してください。
3-4.衛生管理者の難易度と合格率
衛生管理者は、合格率が約6割となります。半数以上の受験者が合格できるのですから、難易度が高いとは言えません。しかし、受験資格の区分があることを考えると資格試験としては中程度の難易度があると考えていいでしょう。また、4割の人は不合格なのですから、確実に合格するためには油断をしないでしっかりと受験準備をしておく必要があります。
3-5.衛生管理者試験の問い合わせ先
問い合わせ先は、公益財団法人安全衛生技術協会となります。試験についての疑問や不安は、事前の問い合わせによって解消しておきましょう。また、試験内容について常に最新の情報を確認するべく、こまめにチェックしておいてください。
4.衛生管理者(衛生工学衛生管理者)の講習について
衛生管理者の中でも衛生工学衛生管理者は、規定の講習を受けて修了試験に合格することで資格取得ができます。ここでは、衛生管理者の講習について詳しく解説しましょう。
4-1.衛生工学衛生管理者の講習の受講資格
衛生工学衛生管理者の講習を受けるには、以下のような受講資格を満たしていることが必要となります。
- 大学・高等専門学校で工学・理学の課程を履修・卒業していること
- 第一種衛生管理者
- 大学で保健衛生の学科を専攻し労働衛生に関する科目を履修後卒業していること
- 労働衛生コンサルタント
- 作業環境測定士
上記のうち、第一種衛生管理者に関しては、国家試験を受けて資格取得をした人に限ります。たとえば、保健師や薬剤師などで申請により資格取得をした人は除外となるので注意してください。
4-2.衛生工学衛生管理者の講習会の概要をチェック
講習を受けたい人は、以下を参考にして受講の申し込みをしてください。
- 申し込み方法:受講申請書を郵送
- 受講日:2か月に1回程度の平日
- 実施地域:東京・大阪の各労働安全衛生教育センター
- 受講日程:5日間
- 受講費用:116,640円(テキスト代を含む)
なお、受講日程は5日間のほかにも、受講科目免除がある人は4日間コースや2日間コースを選択できる場合もあります。詳しくは、各労働安全衛生教育センターに問い合わせてください。
4-3.衛生工学衛生管理者の講習に関する問い合わせ先
問い合わせ先は、労働安全衛生教育センターとなります。受講を希望する人は、自分が参加できる日程を調べておきましょう。
なお、関西以西に住んでいる人は大阪安全衛生教育センターを参考にしてください。
5.衛生管理者免許取得のための勉強法
それでは、衛生管理者免許取得に向けた勉強法について解説します。資格取得のためには、効率よく勉強することが大切です。
5-1.衛生管理者免許取得におすすめのテキストや参考書
衛生管理者免許取得のためには、試験合格に特化したテキストや参考書を利用して勉強しましょう。なお、おすすめのテキストや参考書については、下記の条件を満たしているものとなります。
- 受験する種類の衛生管理者試験に対応したもの
- 図や絵を使ってわかりやすく説明しているもの
- 自分の苦手分野の解説に詳しいもの
- 例題が多くて実践に強いもの
- 過去問題を豊富に掲載しているもの
- 資格試験合格率がよく受験者から評判がいいもの
なお、テキストや参考書だけでは受験準備も万全とは言えません。資格合格のためには、DVDなどを使用して理解度を深める必要があります。
5-2.衛生管理者免許取得のための学習方法のコツ
衛生管理者免許を取得するためには、限りのある時間を活用することがポイントとなります。すき間時間をみつけて、資格取得のための勉強をしましょう。タイミングは、朝起きて出勤までの時間でも仕事が終わってからの時間でも構いません。とにかく、学習の継続が大切です。また、過去問題を繰り返し解くことは効果的な試験対策となります。暗記できるぐらいに何度も解いて、身に付けてください。
6.衛生管理者資格に関するよくある質問
それでは、衛生管理者の資格・免許についてよくある質問に回答します。今までの総仕上げとして、それぞれ確認しておきましょう。
Q.第二種衛生管理者が第一種衛生管理者試験を受けるときのメリットは?
第二種衛生管理者が上位資格である第一種衛生管理者の受験を希望するときは、科目免除で試験を進めることができます。具体的には、労働衛生(有害業務)と関係法令(有害業務)の2科目だけで受験が可能なので申請を忘れないようにしましょう。また、第二種衛生管理者を持っている人は、すでに基本的な職務内容を理解していることや実務経験などにより有利になります。さらに、第一種衛生管理者になると職場が広がって病院勤務も可能になるなどのメリットがあるのです。
Q.衛生管理者の免許は更新する必要がありますか?
衛生管理者の免許は、基本的に更新の必要がありません。つまり、ひとたび取得をすることで半永久的に資格が有効となります。ただし、結婚や離婚などで氏名が変わったり本籍地が変更になったりした場合は書き換え申請をしてください。また、免許証を紛失した場合も再交付申請をしておきましょう。衛生管理者の免許情報は、最新のものにしておくことが大切です。
Q.第一種衛生管理者がスキルアップをするために必要なことは?
まずは、現在働いている職場の衛生管理が徹底しているかチェックしてください。改善が必要なところについては、改善策を考えて実施することが実務経験としてのスキルアップにつながります。また、第一種衛生管理者資格を持っている人は、ぜひ衛生工学衛生管理者の資格取得も考えてみてください。衛生工学衛生管理者は、規定の講習を受講して修了試験に合格することで取得が可能です。衛生管理分野で、より深い知識が身に付きますよ。
Q.衛生管理者が病院で実務経験を積んだことは別業界でも役に立ちますか?
衛生管理者として病院に勤務した経験は、別の業界に転職しても必ず生かすことができます。病院は、患者の病気を治すことが目的です。医療従事者の衛生管理を行うことは、重要な意味を持っているため、衛生管理者の職場としても難易度が高いことは確かと言えます。転職のときも、病院での実務経験は高い評価を受けることができるでしょう。
Q.衛生管理者試験には科目合格制度はありますか?
残念ながら、衛生管理者試験に科目合格制度はありません。そのため、試験を受けて不合格になった場合は、改めて全科目を受験し直すことになります。試験に合格するためには、各科目の得点率が40%以上かつ全体の得点率が60%以上であることが条件です。特定分野の得点率が低かったり全体の得点率が足りなかったりする場合は、いずれも不合格となります。不合格になった場合は、弱点を分析して次回の受験に備えましょう。
まとめ
医師や看護師だけでなく、衛生管理者として病院で働くことも可能です。衛生管理者は、病院で働く人たちが、衛生管理の行き届いた職場環境で快適に働くことができるために必要な存在となります。医療従事者の職場環境を整えることは、多くの患者にとっても大切ことです。つまり、病院で働く衛生管理者の存在意義は大きいと言えます。衛生管理者としてスキルアップを積むためにも、病院での実務経験は貴重です。皆さんも、ぜひ衛生管理者を目指して頑張ってみてください。なお、資格試験に合格するためには、受験勉強も手を抜かないようにしましょう。