安全管理者・衛生管理者必見!!労働安全衛生規則とは?
労働安全衛生規則とは、厚生労働省が労働の安全性について定めた規則です。
「労働安全衛生法」や「労働安全衛生法施行令」の内容をより具体的にしたものになります。
安全管理者や衛生管理者は、この労働安全衛生規則に従って職場の安全と衛生を管理するのです。
そこで、今回は労働衛生規則の内容などについて、詳しくご紹介していきましょう。
労働安全衛生規則は、何か災害や事故が起こるたびに増えていきます。
ですから、労働安全、衛生にかかわる方ならば新しい規則が追加されるたびに目を通しておく必要があるのです。
これから労働安全、衛生にかかわる方もこの記事を読めば大体の内容をつかむことができるでしょう。
ぜひ目を通してみてくださいね。
1.労働安全衛生規則とは?
労働安全衛生規則とは、前述したように厚生労働省が定めた労働の安全性についての規則です。
労働者は誰でも安全に衛生的に仕事をする権利があります。
しかし、実際は利益と従業員の安全と衛生を天びんにかけた場合、利益を優先する企業は少なくありません。
その結果、発生するのが労働災害です。労働災害というと事故やケガをイメージしがちですが、職場の環境が原因で発症する病気も労働災害に該当します。
このような労働災害が頻発すると、労働者の労働環境は悪化する一方でしょう。
また、長い目で見れば企業にとってもマイナスです。
そこで、労働者が安全に衛生に働けるような規定を定めた「労働安全衛生法」が制定されました。
しかし、職場の数だけ環境が違います。
法律だけではカバーしきれない事案がたくさんあるでしょう。
そこで、労働安全衛生法施行令が法律を施行するのに必要な規定をまとめ、政令をもとに規則が作られているのです。
つまり、労働安全衛生規則は「労働者の安全と衛生を守りながら仕事をさせる方法」が記された規則であり、職場の安全管理者と衛生管理者はこの規則に沿って職場の環境を整え安全に配慮する必要があります。
また、この規則は新しい労働災害が発生するたびに改訂されるのです。
ですから、改訂の報告が来るたびに、目を通しておく必要があります。
2.労働安全衛生規則の内容とは?
労働安全衛生規則は600条以上もあるとてもボリュームのある規則です。
ですから、すべてと通して読むのはなかなか大変でしょう。
そこで、この項ではどのような内容が書かれているのか分類して概要を説明していきます。
ぜひ参考にしてくださいね。
2-1.安全衛生管理体制
まずひとつめが、安全衛生管理の体制についての規則です。
安全に衛生的に仕事を続けるためには、それを管理する職務が不可欠。
そのため、安全管理者や衛生管理者をはじめとする、職場の環境をたもつための管理者についてや、どうやって職場の安全や衛生を確保していくかの方法などが記載されています。
安全管理者や衛生管理者はこの規則に沿って職場の環境を整えていきましょう。
ちなみに、産業医や安全衛生委員会についてもこのグループに記載されています。
2-2.安全衛生教育
安全衛生教育とは、従業員に安全に衛生に仕事をしてもらうために行う教育のこと。
会社に勤めている方なら1年に1度は行う健康診断も、安全衛生教育のカテゴリーの中に含まれています。
労働安全衛生規則第44条が健康診断について定めた規則です。
衛生管理者の最も重要な職務は健康診断の計画と実施、そして結果の管理になりますから必ず目を通しておきましょう。
また、安全に衛生に仕事をするためには、ときとして効率が悪くなります。
すると、必ず「このくらいはいいだろう」と思って安全や衛生をおろそかにする従業員が出てくるでしょう。
いくら環境が整っていても、従業員が安全や衛生に関心が薄ければ労働災害は防げません。
ですから、時間を設けて安全教育をする必要があるのです。
2-3.危険防止措置
今は技術の進歩により、機械や労働環境による事故も減っています。
しかし、皆無になったわけではありません。
そのため、安全に衛生に作業をするために、特定の作業は危険防止のためにしなければいけないことが定まっています。
詳しくは、労働安全衛生規則の該当部分をそのつど確認しましょう。
いろいろなホームページで確認できますが、労働安全情報センターのものが比較的見やすいです。
また、一見すると危険など全くなさそうな職場でも危険は潜んでいます。
そのため、これからも危険防止措置の項目は増え続けることが予想されるのです。
2-4.衛生基準
衛生基準とは、健康を害さずに働ける職場環境作りのことです。
今は、一部の職場を除いて、働いているだけで健康を損ねてしまう職場というのはほとんどありません。
その代わり、体の不調を訴えたり精神が不安定になったりする職場は増えているのです。
たとえば、現在のオフィスワークはほとんどが、パソコンを使った入力作業になっています。
1日中パソコンの画面を見続ければ、肩こりや腰痛をはじめとする体の不調も起こりやすくなるでしょう。
それを防止するのも衛生基準のひとつなのです。
また、就業時間や従業制限も衛生基準にカテゴライズされるでしょう。
長すぎる就業時間が過労死の原因になることは広く知られていますし、今は働く妊婦も増えてきました。
ですから、あえて規則でストップをかけることで、衛生的(健康に問題なく)仕事ができるようにしているのです。
3.労働安全衛生規則に沿った具体的な取り組みとは?
この項では、労働安全衛生規則に沿った具体的な取り組みの方法についてご紹介します。
実際に衛生管理や安全管理の仕事に就いている方は、ぜひ参考にしてみてください。
3-1.安全管理体制
職場の安全管理体制を確立するためには、まず安全管理や衛生管理を主な職務とする人たちを選任しなければなりません。
安全管理者、衛生管理者、統括安全衛生管理者、産業医などです。
安全管理者は、一定の実務経験を積んだ後で厚生労働大臣が定める研修を修了すれば、資格が取得できます。
衛生管理者は実務経験を積んだ後で国家試験に合格するか、労働衛生コンサルタントなどの有資格者に与えられる資格です。
安全管理者も衛生管理者も労働安全衛生法によって一定の従業員のいる職場や、特定の職場には必ず選任が必要になります。
より危険度の高い職場で、大人数の従業員がいる場合は「安全衛生委員会」が設置されることもあるでしょう。
統括安全衛生管理者とは安全管理者や衛生管理者たちを束ねて統括する立場になる責任者のことです。
産業医とは、従業員の健康や精神の安定をたもつために企業と契約している医師のこと。
大企業の場合には専属の産業医がいることもありますが、たいていの場合は開業医と契約を結んで労働災害が起こった場合などに診察などをしてもらいます。
最近は心療内科や精神科の専門医が産業医になる企業も少なくなく、衛生管理者が従業員との橋渡し役をすることもあるでしょう。
3-2.安全衛生教育
安全衛生教育というと、講習会や勉強会などをイメージする方も多いですが、前述したように健康診断も安全衛生教育の一種です。
健康診断で従業員に共通する疾患があった場合は、労働災害が疑われるでしょう。
また、体に有害な物質を扱っている職場の場合は、年に1度の健康診断のほか、半年に1度の「特別健康診断」を受けなくてはなりません。
なお、企業は従業員に健康診断を受けさせなければ違法ですが、従業員は健康診断を受けなくても特に罰則はないのです。
ですから、仕事が常時忙しい職場などでは、健康診断を実施したけれども受診率が低いこともあるでしょう。
そのため、衛生管理者はできる限り多くの従業員が参加できるように日程を調整しなければなりません。
また、結果を集計したら労働災害の予兆が出ている場合は、即座に経営者と今後の方針を話し合いましょう。
安全管理者は定期的に労働災害防止の講習会や勉強会を主催してください。
冊子などを作って読んでもらうだけでなく、講習会形式にした方が理解は得られやすいです。
なお、平成27年度から職場のストレスチェックが一定の規模の職場で義務化されました。
このストレスチェックは必ず医師か保健師が行いましょう。
衛生管理者や安全管理者では行えません。
3-3.衛生基準
これは、職場の環境が安全に衛生的に仕事をするのに適しているかどうか、調査をしたり改善したりすることです。
職場の水や空気を衛生管理者が採取して検査することもあるでしょう。
また、衛生管理者の職務である「職場巡視」は、衛生基準を満たしているかチェックするためでもあるのです。
衛生基準が満たされていない場合は、すぐに改善が必要になります。
3-4.危険防止措置
危険防止措置は、文字どおり使い方を間違えると危険な道具(車両、機械など)を安全に使うための規則です。
また、電気工事や掘削作業などやり方を間違うと危険な作業も危険防止措置の方法が規則では定められています。
安全管理者はこの部分に目を通し、従業員の安全教育で伝えていきましょう。
この危険防止措置は、改訂されるごとに増えていく傾向にあります。
ですから、定期的に目を通しておきましょう。
職場から通達がくる場合も少なくありません。
4.労働安全衛生規則に関するよくある質問
Q.労働安全衛生規則は、必ず覚えていなくてはいけませんか?
A.覚えている必要はありませんが、何かあったときにすぐ目を通せるようにしましょう。
Q.安全管理者や衛生管理者になるには経験が必要ですか?
A.はい、経験が必ず必要になります。そのため、学生では取得できません。
Q 労働安全衛生規則における努力義務とは何ですか?
A.守らなくても罰則はないけれどできる限り守る努力をしましょうという意味です。
Q.統括安全衛生管理者になるには資格が必要でしょうか?
A.資格は必要ありませんが、工場長などの立場の人しかなれません。
Q.性別に関係なく衛生管理者などにはなれますか?
A.問題ありません。
まとめ
いかがでしたか?今回は労働安全衛生規則について具体的にご紹介しました。
法律と違い、細かい規定を定めたものですので量も膨大です。
しかし、これに沿って安全衛生管理を行うので、改訂されたら必ずチェックしましょう。