うつ病の人が職場復帰をする場合はどうやって対応すればいいの?

うつ病で療養をしていた人が職場復帰をする。
喜ばしい反面、「大丈夫だろうか」と不安になる社員もいると思います。
また、復帰してきた社員にどの程度仕事を任せてよいか分からないと悩んでいる方もいるでしょう。
そこで、今回はうつ病になっていた人が職場復帰をする際の対応について、ご説明します。
職場に衛生管理者が選任されている場合は、その人が中心になって職場復帰してくる人を受け入れる準備をするとよいでしょう。また、職場復帰してくる人と接する際の注意点などもご紹介します。
衛生管理者の方や部下や同僚が職場復帰してくるという方はぜひこの記事を読んでみてください。

目次

  1. うつ病とはどんな病気?
  2. うつ病の人が職場復帰してくる際の対応とは?
  3. 衛生管理者の役割とは?
  4. おわりに

1.うつ病とはどんな病気?

うつ病とは「心の風邪」とも呼ばれる、患者数が多い精神的な病気です。
今までバリバリ仕事をしていた人が、急に何も手につかなくなりほとんど寝たきりになってしまったというケースも珍しくありません。う
つ病の原因はストレスや脳内で分泌されるセロトニンの不足があげられていますが、いまだにはっきりしていないのです。
また、うつ病は身体的な症状はほとんどないため、知識がない人から見るとなまけて寝ているだけにも見えます。
一昔前までは外聞の悪さから発病しても周囲に隠したり、限界までがまんして自分から最悪の結果を選んでしまったりする人も多かったのです。
しかし、現在は精神的な病気への理解も広がり芸能人が「自分もうつ病だった」と告白することも増えました。
また、肉体的な病気と同じように精神的な病気にかかっても休養が必要ということで、うつ病を発症して休職を選択する人も多くなってきています。
しかし、肉体的な病気と違い、うつ病の治る速度は個人差があるのです。
休職期間が長引くと、職場の方からやんわりと退職を勧められることもあるでしょう。
また、うつ病に対する偏見も完全になくなったわけではありません。

2.うつ病の人が職場復帰してくる際の対応とは?

では、うつ病の人が職場復帰をしてくるときは、どのような対応をすればよいのでしょうか?
この項では、うつ病の人が職場復帰をしてくるまでの流れと職場でするべきことなどをご紹介します。

2-1.うつ病の人が職場復帰するには?

うつ病は、本人にも回復の度合いが分かりにくい病気です。
休職期間が長引くと、「このまま退職をうながされるのではないか」と不安になる方もいるでしょう。
また、家族から「そろそろ復職できるのでは?」とせかされる方も珍しくないそうです。
しかし、うつ病は無理をすると再び悪化してしまいます。
そこで、医師の診察を受けて「職場復帰が可能である」という診断書を作成してもらう必要があるのです。
いくら自分が「もう復職できます」といっても、医師が許可しなければ復職できません。
また、復職に備えて仕事をしているときと同じサイクルで生活を送ったり、実際に会社の前まで行ってみたりするなど自主的なリハビリをしている方もいるでしょう。
可能ならば本人と衛生管理者、そして上司で面談を行ってみると、受け入れる方もやりやすいです。

2-2.職場の受け入れ態勢はどうするべき?

精神的な病気だったからといって、「はれ物に触る」ような態度で接せられると本人もつらいです。
職場に復帰してきたら、以前と同じように接してあげるのが一番でしょう。
しかし、快気祝いだからと飲み会などは企画しない方がよいですね。
うつ病だった人が職場復帰をする際は、とても緊張しています。
ですから、仕事が終わったらすぐに帰って体を休めたいと思っている人がほとんどです。
なので、無理に付き合わせてはいけません。
また、うつ病は「もう大丈夫」と思っても、急に症状がぶり返すこともあるのです。
ですから、職場復帰をしてしばらくの間は、早退なども多いかもしれません。
仕事が忙しいときなどは、「迷惑だな」と思うこともあるでしょう。
しかし、うつ病は誰でも発症する可能性がある病気です。
職場復帰してきた人に対して冷たい対応を取ると、自分がうつ病になった際に、居づらい会社になってしまうかもしれません。

2-3.職場復帰した人への仕事の与え方とは?

職場復帰した人は、休んだ分の遅れを取り戻さなければと考えている人も多いです。
ですから、以前にも増して仕事をがんばったり残業を積極的に引き受けたりしようとするかもしれません。
しかし、うつ病は無理をすれば再び悪化します。
ですから、最低でも復帰して半年くらいは可能な限り残業はさせず、急な早退や欠勤に備えましょう。
本人が強く希望しても、引き受けさせない方がいいですね。
また、配属先が忙しい部署だった場合は配置転換も考えましょう。

2-4.うつ病への理解を深めてもらおう

年配の社員の中には、まだまだうつ病を「甘え」や「なまけているだけ」と考えている方も多いでしょう。
特に、社会的な地位が高い人ほど、うつ病を認めない人が多いようです。
現在社会的な地位が高い方は、プレッシャーにも負けずストレスに屈することなく、過ごしてきた方が大半でしょう。
ですから、「落ちこんだくらいで」と考えてしまいがちです。
しかし、うつ病はれっきとした病気。
「気を強く持てば何とかなる」「なまけるな」と叱咤激励(しったげきれい)した結果、最悪な結果を選んでしまう人もいるでしょう。
ですから、衛生管理者が中心になってうつ病への理解を深めてもらってください。
特に、「誰もが発症する可能性がある病気」ということを強調すると、理解されやすいと思います。

3.衛生管理者の役割とは?

衛生管理者が常駐している職場でうつ病の方が職場復帰をしてきた場合は、職場と復帰した人をつなぐ架け橋になりましょう。
まだまだうつ病への理解が低い職場もあります。
また、忙しい時期に遅刻や早退をくりかえすと、どうしても周囲の目が厳しくなるでしょう。
ですから、衛生管理者はうつ病の正しい知識を職場に広めるとともに、よりうつ病の方が働きやすいように職場環境を整える必要があります。
うつ病になる人は、責任感が強く真面目な方が多いそうです。
ですから、自分が職場のお荷物になっていると理解すれば、無理をしてでも残業などを引き受けようとするでしょう。
しかし、その結果、うつ病の症状が再発したら元も子もありません。
ですから、定期的に職場復帰社と面談をしたり必要があると判断した場合は、産業医との面談の場を設定したりしましょう。

4.おわりに

いかがでしたか?
今回は、うつ病の方が職場復帰をする場合の対応をご説明しました。
まとめると

  • うつ病の人が職場復帰してくる場合は、以前と同じように接しよう。
  • 職場復帰をしてくる前に、うつ病に対する理解を職場の人に広めておこう。
  • 職場復帰をした人は、最低でも半年は残業などの無理をさせないことが大切。

ということです。
日本が不況といわれるようになって、20年がたとうとしています。
大企業でも、人員に余裕がなく「働けない社員は雇っておけない」という空気がまん延しているところもあるでしょう。
しかし、うつ病は特別な方がなる病気ではありません。
むしろ、がんばっている人が多い職場ほど、うつ病になる人が多いのです。
ですから、うつ病の人が職場復帰をする際は、これからのことも考えて温かく迎えてあげてください。