従業員満足度(ES)とは? 向上させる方法とその効果を解説!
団塊の世代が退職する年代を迎え、世の中は徐々に労働人口が減りつつあるといわれています。そのため、今まで主流であった「従業員は私生活より仕事を優先する」という働き方では、社員が集まらなくなってきているのです。
そこで、今回は従業員満足度(ES)についてご説明します。従業員満足度とはどのようなものでしょうか?また、それを向上させることによって得られる効果などもご説明します。興味がある方や従業員満足度を向上させたいと考えている方は、ぜひこの記事を読んでみてください。
1.社員を大切にしない会社に未来はない?
かつて、企業が成長していくのは「顧客満足度」を向上させることがカギだ、と言われていました。そのため、現在も多くの企業がお客様を満足させることをとても大切に考えています。
しかし、その反面「顧客に理不尽なクレームを付けられた」と悩む従業員も少なくありません。
また、「クレームやわがままを言うことが半ば趣味になっている顧客」もいます。これらは、顧客満足度を優先してきた弊害(へいがい)でしょう。さらに、ここ数年の間に存在が認知された「ブラック企業」では、従業員を安い賃金で休みなく働かせることでも問題になりました。
企業で働くということは、その企業から給料をもらっているということ。ですから、なまけたり不真面目な態度で働いたりするのは論外です。しかし、企業の経営者と従業員は役職の差はありますが対等な存在。ですから、上司が部下の人間性を否定したりおどしたりしてはいけません。
また、ペナルティを作って不当に給料を減らしたり休日出勤を強要したりするのは違法です。日本では一度会社を辞めると同じ条件で再就職するのが難しい事情もあり、上司や経営者の要求に黙って従う人は少なくありません。その結果、心身を壊して働けなくなる人もいるのです。
従業員の待遇が悪い会社は従業員が頻繁に入れ替わります。その結果、いつまでたっても同じミスがくりかえされて、業績が伸びにくくなるでしょう。さらに、不当な扱いを受けている従業員の方が、まじめに仕事をしなくなります。
「どうせがんばっても給料は低いし、休みも少ないのだから適当でいいや」と思ってしまいがち。ですから、業績も伸びません。つまり、社員を大切にしない会社に未来はないのです。
2.顧客満足度と従業員満足度(ES)の関係
人は、自分が満ち足りているとほかに人にも親切になります。ですから、経済的に安定していて人々が余裕のある暮らしをしている国ほど、治安がよいのです。会社も、それと同じことが言えるでしょう。従業員が仕事にやりがいや充実感を覚えていれば、「この仕事をもっとがんばろう」と思いやすいのです。
一生懸命仕事をすれば、顧客満足度も上がり企業の業績もアップします。つまり、顧客満足度と従業員満足度(ES)は車の両輪のようなものなのです。どちらが欠けても業績は上がらないでしょう。
3.従業員満足度(ES)の計り方とは?
仕事に何を求めるかは、個人差があります。給料の高さを求める人もいるでしょうし、仕事のやりがいを求める方もいるでしょう。ですから従業員満足度は「仕事」「職場」「上司」「会社(経営者)」などのカテゴリーに分けて、計ることが多いです。従業員満足度を計るため、アンケートを製作して実施してくれる企業もありますので、利用してみてもよいでしょう。
結果を集計して、ポイントが低い場所を改善していけば従業員満足度を向上させることができます。従業員すべてが完全に満足する職場はありません。しかし、より多くの従業員が満足する職場になれば、従業員満足度も向上するでしょう。
4.従業員満足度(ES)を向上させる方法
では、従業員満足度を向上させるにはどうしたらよいのでしょうか? この項では、その方法の一例をご紹介します。
4-1.経営者側が従業員を評価する姿勢を見せる
目立たない場所でコツコツとがんばる人もいれば、それほど努力をせずに結果だけを求める人もいます。「部下の手柄を上司が横取りしてしまった」という話は、珍しいことではありません。
また、逆に上司のミスを部下に押し付けることもあります。仕事の評価は大変難しく、経営者が目立つ場所だけ見ていると見落とすことも多いでしょう。しかし、経営者がすべての従業員を評価する姿勢を見せると、いろいろな意見が聴こえてくるはずです。
人事評価を従業員に開示するのもよいでしょう。一時期、日本の企業にも積極的に成果主義が導入されましたが、残念ながらあまりうまくは機能していません。その一因は、人事評価に成果がうまくされなかったことです。ですから、評価を開示することによって公平性が高まるでしょう。自分が評価されていると分かれば、従業員もやる気が出ます。
4-2.意見は平等に聴く
平社員と役職付き社員が意見をした場合、役職付き社員の意見が尊重されることは珍しくありません。また、若い社員の意見は軽んじられることもあるでしょう。しかし、それでは従業員の不満がたまります。ですから、若い社員の意見にもきちんと耳を傾けましょう。意見交換が活発になれば、思わぬアイデアも生まれるかもしれません。
4-3.相談窓口を作る
会社は、いろいろな世代の人間が集まっています。どんな会社でも、すべての従業員が家族のように仲がよいということはありません。どうしても、そりが合わない人もいるでしょう。それを割り切って付き合うのが大人です。
しかし、努力しても軋轢(あつれき)が生まれる場合もあります。このようなときに、気軽に相談できる窓口があるとよいでしょう。「話を聞いてくれる人がいる」というだけで、心が軽くなることは多いのです。衛生管理者が選任されている場合は、その人が窓口になるという方法もあります。
4-4.社員に滅私奉公(めっしぼうこう)を期待しない
かつて、日本の会社員は会社にすべてをささげている人も珍しくありませんでした。しかし、それは会社に尽くしていれば定年まで勤め続けられるという見返りがあったからです。一昔前の会社は、福利厚生が今よりも充実しているところもたくさんありました。
現在では、従業員に一方的な「滅私奉公(めっしぼうこう)」を求めてはいけません。また、根性や努力といった精神論で無理な仕事をさせるのもやめてください。仕事が忙しいときは、給料を割り増ししたり代わりの休みを認めたりして従業員をねぎらいましょう。その方が、従業員満足度は向上します。
5.おわりに
いかがでしたか? 今回は、従業員満足度(ES)とはどのようなことかということや、工場のさせ方などをご紹介しました。
まとめると
- 従業員満足度が上がれば顧客満足度も上がる。
- 従業員を大切にしている企業は、業績が伸びる。
- 従業員満足度をアンケートなどで調査し、改善点を明らかにするとよい。
ということです。バブル経済がはじけて10年ほどまでは、企業の力が強くなり従業員は「働かせてもらえるだけでありがたい」という姿勢でした。しかし、現在ではブラック企業というレッテルを張られてしまうと、社会的評判は低くなり新入社員も集まりません。従業員満足度を上げるということは、従業員を甘やかすことではないのです。従業員を正当に評価し、やる気を引き出すために行います。そのためには、経営者側も努力が必要でしょう。