職場の健康管理方法はどうすればいいの? 従業員のここをチェック!!

労働基準法に基づくと、雇用者は従業員に対して安全で健康的な環境で仕事をさせる義務があります。
安全は職場環境を整えることで守れますが、労働者の健康はどのように管理したらよいのでしょうか?
そこで今回は職場の健康管理の方法についてご紹介します。
従業員の健康管理というと真っ先に健康診断が思い浮かびますが、それ以外にも安全や健康を守る方法があるのでしょうか?
また、従業員の健康管理は衛生管理者の職務のひとつです。
衛生管理者や衛生管理者を目指している方はぜひ読んでみてくださいね。

目次

  1. なぜ、従業員の健康管理が必要なのか?
  2. 従業員の健康管理のポイントとは?
  3. 健康診断後のフォローの仕方のコツ
  4. おわりに

1.なぜ、従業員の健康管理が必要なのか?

この項では、従業員の健康管理が必要な理由をご紹介します。
健康で安全に仕事をすることは、労働者の権利でもあるのです。

1-1.利益を優先すると労働者の健康は守れない

つい40年ほど前まで、企業は利益優先で労働者の権利は二の次という所も少なくありませんでした。
しかしその結果労働者の多くが職場環境によって健康状態を悪化させ、今でも企業と責任の所在を巡って争っています。
職場環境を安全に整えるためには、それなりの費用がかかるでしょう。
ですから雇用主の立場からすれば、安全や従業員の健康よりも利益を取りたいと思うこともあるのです。
しかしそれを許してしまうと、従業員が定着せず結局は企業の利益を損ねることになります。
つまり労働者の健康を守ることは、企業の為でもあるのです。

1-2.地域の為にも効果的

従業員の健康管理を怠るということは、結局は職場の安全を二の次に考えているということです。
職場が危険な環境であれば、職種によってはより広い範囲に影響が出るでしょう。
かつて日本には「公害病」が蔓延し、企業が利益優先で操業した結果地域住民全体の健康に影響が出ることも珍しくありませんでした。
現在、万が一公害病が発生すれば企業は大きなダメージを受けるでしょう。
従業員の健康を守るということは、ひいては地域の環境を守るということにも繋がるのです。

1-3.職場の雰囲気も従業員の健康状態でわかる

現在は、職場の環境が原因で健康を害する従業員は減ってきています。
しかしその代り、職場の雰囲気や人間関係が原因で、心理的な健康を損ねる従業員が増えているのです。
大人ですから、ある程度苦手な人ともうまくやっていける処世術は求められます。
しかし、限度を超えると個人の力では対処できなくなるでしょう。
職場の雰囲気を改善し皆が気持ちよく仕事ができるようにするためにも、社員の健康管理は必要です。

2.従業員の健康管理のポイントとは?

では、従業員の健康管理を効果的に行うにはどうしたらよいのでしょうか?
この項では、従業員の健康管理を行う際に抑えておくべきポイントをご紹介します。

2-1.健康診断は全員が受けられるように日時を調整する

従業員の健康管理の基本は健康診断です。
常時夜勤勤務など、特定業務に常時従事する労働者には6か月に1回、それ以外の職場で働く労働者に対しては1年に1回健康診断を実施することが、労働安全衛生法によって定められています。
衛生管理者は健康診断の日程を調整したり、健康診断の結果を管理するのも職務のひとつです。
健康診断の結果を見れば、職場の環境もある程度把握できるでしょう。
しかし、健康診断を実施するのは会社の義務ですが、従業員に健康診断を無理やり受けさせることはできません。
健康診断を受けない従業員が多ければ、健康診断は形骸化してしまうでしょう。
ですから、従業員が健康診断を受けやすい日時に実施し、受診を呼びかけることが大切です。

2-2.職場環境を定期的にチェックする

衛生管理者の職務のひとつに職場巡視があります。
この時に職場の環境もチェックすることが大切です。
「危険な作業工程があったり、危険物を扱う職場以外に環境のチェックは必要なの?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、事務仕事が主なオフィスでも環境によっては社員の健康が損なわれることがあるのです。
たとえば蛍光灯の明るさが暗すぎたり明るすぎたりすると、眼精疲労がたまるでしょう。
また、職場が乱雑だとたとえ事務仕事とはいえ思わぬ怪我をするかもしれません。
ですから「この職場は普通のオフィスだから、安全点検はそれほど力を入れなくても大丈夫だろう」などと思ってはいけません。
また就業中は騒音が出たり有害物質が発生する職場は、定期的に騒音の大きさや、空気の検査が必要です。

2-3.衛生管理者は相談しやすい雰囲気を作っておく

最近は仕事が原因で、精神のバランスを崩す人も少なくありません。
肉体的な病気と異なり、精神的な病気は検査をしても何の異常も出ないうえ、恥ずかしさから誰にも相談できずに1人で抱え込む人も多いでしょう。
精神の病は対処が早いほど予後が良いのです。
ですから衛生管理者は職場巡視の際、従業員が気軽に相談できるような雰囲気を作っておきましょう。
そうすれば、突然の休職や退職等も防げるかもしれません。

3.健康診断後のフォローの仕方のコツ

では最後に、健康診断の結果が問題ありだった人へのフォローの仕方をご紹介します。
病気は早期発見、早期治療が大切なのです。

3-1.医師と面談する機会を設ける

衛生管理者は、産業医と従業員の橋渡しも職務のひとつです。
健康診断の結果、異常がわかった場合は従業員が自分で再検査を受けなければなりません。
しかし、色々と言い訳をしてなかなか受けない従業員もいるでしょう。
でも、この異常が仕事が原因ならば、早く対処しないと大変なことになります。
そこで、衛生管理者が従業員と産業医の面談の機会を設けると従業員も事の重要さに気付いてくれるでしょう。
場合によっては医師のアドバイスに従って従業員の勤務時間や勤務内容を見直すことも必要です。

3-2.職場の環境を至急調査し、対策を考える

複数の従業員に同じ異状が出た場合は、職場の環境が原因の可能性が高いです。
至急職場の環境を調査し、対策を考える必要があるでしょう。
場合によっては直ぐに経営者に報告して、外部の専門家に調査してもらう必要もあります。
ぐずぐずしていて従業員の健康に異常が出た場合は、会社も大きなダメージを受けるでしょう。
また、対策を立てたら速やかにそれを実施してください。

4.おわりに

いかがでしたか。今回は従業員の健康管理の方法についてご説明しました。
まとめると

  • 従業員の健康を守ることが、会社の利益にもなる
  • 健康診断はできるだけ不参加者が出ないような日程にする
  • 職場の安全チェックは定期的に行う
  • 健康診断に異常があった従業員のフォローも大切

ということです。
長引く不況により、従業員の健康など二の次という企業も増えました。
しかし、そのような企業は「ブラック企業」というレッテルを張られ、結局は会社がダメージを受けるのです。
健康診断をはじめとする、従業員の健康を守るための催しは、現在健康な人にとっては無駄だと思えるかもしれません。
しかし大きな事故がおこったり、病気が蔓延したりしてからでは遅いのです。
衛生管理者は従業員が50人以上所属している職場では必ず選出しなければいけません。
職務をしっかりと果たして、従業員の健康を守ることが一番大切です。
たとえ危険が何もなさそうな職場でも、安全点検を怠らないことが大切でしょう。