衛生管理者が知っておくべき正しい職場環境の改善法4つ
職場の管理をする人にとって、従業員が働きやすい職場環境を作り出すことは大切な仕事です。
従業員がメンタル面でのストレスを抱えたまま仕事を続けることは、職場としても非効率的なことではないでしょうか。
事業者や衛生管理者として職場の改善提案を打ち出す必要性に迫られることもあるでしょう。
今回はそんな悩みをお持ちの方のために、職場環境の改善に関する情報をまとめてみたいと思います。
目次
- 職場における衛生管理者の役割について
- 職場環境を改善することの重要性について
- どのような改善方法があるのか
- まとめ
1.職場における衛生管理者の役割について
50人以上の労働者が働く事業場では、一定数以上の衛生管理者を選任することが義務づけられています。
職場における衛生管理者の役割とは一体どのようなものなのでしょうか。
衛生管理者は国家資格
衛生管理者は、安全で健康的な職場環境を従業員の立場から考え、職場環境を改善するための指導員となる人材です。
新たに衛生管理者を置くのではなく、もともといる職員が衛生管理者の資格を取って職場環境の見直しをおこなう会社がほとんどではないでしょうか。
職員の過労やメンタル面、人間関係にも気を配る必要があるため、総務部や人事部に所属する職員が衛生管理者になることが望ましいと言われています。
衛生管理者は労働安全衛生法に基づく国家資格であり、職場における労働者の健康管理確保および快適な職場環境づくりを立案・実施するのが仕事です。
具体的な役割とは?
衛生管理者の役割は以下の通りです。
- 労働者の危険または健康障害を防止するための措置に関すること
- 労働者の安全または衛生のための教育の実施に関すること
- 健康診断の実施その他健康の保持促進のための措置に関すること
- 労働災害の原因の調査および再発防止対策に関すること
- その他、労働災害を防止するため必要な業務で、厚生労働省令で定められるもの
定期的な健康診断の計画実施により職員の健康維持を図ったり、救急用具の装備や点検、洗面所の衛生管理なども衛生管理者の仕事です。
例えば「女子トイレの数を増やす」「休憩所を禁煙にする」ことによって職員が働きやすい職場環境を作り出すことも大切な役割と言えるでしょう。
2.職場環境を改善することの重要性について
次に職場環境を改善することの重要性についてご説明します。
職場環境を改善することは労働者や会社にとってどのようなメリットにつながるのでしょうか。
職場におけるストレスが減る
職場環境の悪化による精神的ストレスが原因で「心の病」を抱えている労働者は年々増え続けています。
厚生労働省の調査によると、職場で感じるストレスの原因となっているものの第一位が「人間関係」、次いで「仕事の質」「仕事への適性」です。
多くの労働者が職場での人間関係や仕事の負担の大きさ、「自分はこの仕事に向いていないのではないか」という不安に悩み、心を痛めています。
これが原因で「会社を辞めたい」「仕事に行きたくない」という事態に陥り、心を病んで休職する労働者も少なくありません。
職場環境の改善はこのような職員を減らし「仕事をしやすい職場」「行きたいと思える職場」を作り上げることを目的としています。
実際に職場環境の見直しがおこなわれた会社からは「社員のストレスが軽減した」という報告が数多く聞こえてきているようです。
休職者の発生予防とパフォーマンスの向上
職場環境を改善することで得られる会社としてのメリットには「休職者の発生を予防できる」というものがあります。
ストレスが減れば心の不調が原因で休職したり仕事に十分な力を発揮できない従業員が減少しますので、休職者が発生した場合の代替要員の確保や休・復職に関わる経費の削減が図れるでしょう。
また、仕事に対してポジティブな心理状態を持つ従業員が増えることで、従業員全体のパフォーマンスが向上するのも大きなメリットです。
創造性が高くリーダーシップ行動の多い従業員が増えることは企業実績を向上させることにもつながり、企業イメージをアップさせることに大きく関係してくるでしょう。
3.どのような改善方法があるのか
職場環境を改善するためには具体的にどのような方法があるのでしょうか。
作業計画の見直し
従業員が仕事に対するストレスを抱える原因のひとつに「仕事の質に対する不満」があります。
「作業計画が明確になっていないため、自分の力を発揮できない」という事態が起こるのを防ぐためにも、作業計画の見直しを図りましょう。
例えば作業の日程の計画書を作成する際には作業者と管理監督者が同時に参加するようにしたり、具体的な作業順序について話し合う機会を設けるようにしてください。
特定の個人に対して過大な作業量になっていないか、個人の技量を生かした達成感が得られる作業内容であるかも、しっかりと考えていく必要があります。
さらに、必要な情報は全員に伝わるように、社員全体がコミュニケーションをとる場を用意することも大切です。
勤務時間の見直し
「残業が多すぎる」「休日がない」という過労働の状態になっている従業員が出ないよう、勤務時間についても見直しをおこないましょう。
まずは週ごと月ごとの労働時間の目標値を定め、繁忙期であってもノー残業デーを運用するなど、長時間労働が当たり前にならないように十分に注意しなければなりません。
また、定めた休日日数がきちんと取れているかを確認し、取れていない場合は年次有給休暇やリフレッシュ休暇が計画的に取れるように考案していきましょう。
勤務時間についても見直しをおこない、十分な休養時間が取れるよう改善していくことが必要です。
コミュニケーションが取りやすい職場環境作りを
人間関係の問題は企業で働く人なら誰でも抱えやすく、深刻化しやすいのでより注意が必要です。
必要なときに上司や責任者に相談しやすい職場環境を整え、同僚間でもコミュニケーションを取りやすくするために、グループ単位で定期的な話し合いの場を設けるなどの工夫をしていきましょう。
心のケアを考える
悩みを誰かに相談できるのとできないのとでは、まるで違います。
心の悩みや職場での人間関係を気軽に相談できる窓口を設置したり、セルフケアに役立つ情報を提供するなど、従業員の心のケアについてもしっかりと考える必要があるでしょう。
また、あらかじめ産業保健スタッフや社外の専門家との連絡体制を整え、緊急の心のケアができるように準備しておくことも大切です。
いざという時にケアしてくれる相手がいると思えることは、大きな心の支えになります。
4.まとめ
職場環境の改善についてまとめてみましたが、いかがでしたか?
- 職場における衛生管理者の役割について
- 職場環境を改善することの重要性について
- どのような改善方法があるのか
職場環境の改善を図る立場にある事業者や衛生管理者の方などは、ぜひこの記事を参考にしてその方法について考えてみてください。