頑張るほどに働きやすくなる? 総括安全衛生管理者の職務は?
一定の規模の職場では必ず選任しなければいけない「統括安全衛生管理者」。ではその職務はどのようなものなのでしょうか。今回はそれをご説明しましょう。衛生管理者の資格取得を目指している方ならば、覚えておく必要があるものです。ぜひ読んでみてくださいね。
1.統括安全衛生管理者とは?
統括安全衛生管理者は、事業所が一定の規模になったら必ず選任しなければなりません。統括安全衛生管理者に選任される資格者とは、実質的に事業場を統括管理する立場に立つ人です。役職の例を挙げると工場長や現場監督ですが、そのような役職についていなくても、統括管理する権限や責任を有する人であれば選任することができます。厚生労働省の職場の安全サイトによると、統括安全衛生管理者を選任しなければならない事業所の規模は以下のとおりです。
- 林業、鉱業、建設業、運送業、清掃で常時使用する労働者100人以上になった場合。
- 製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器等小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ業、自動車整備業、機械修理業で常時使用する労働者が300人以上になった場合。
- これ以外の職場で常時使用する労働者が1,000人以上になった場合。
つまり、事故が起きると大変なことになる可能性が高い職場ほど、事業所の規模が小さくても統括安全衛生管理者を選任しなくてはならないのです。また、統括安全衛生管理者を選出したら速やかに選任報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなくはいけません。
2.統括安全衛生管理者の職務は?
統括安全衛生管理者の職務とは、まず第一に安全管理者や衛生管理者の指揮をとることです。安全衛生管理者は職場の事故を防止し、安全に仕事ができるように設備や器具を点検や整備をおこないます。
万が一事故が起こった場合は事故の原因を調べ対策を検討しなければなりません。衛生管理者は、労働者が安全に快適に働けるように職場を点検したり、改善をすることです。
また、労働者の健康管理も衛生管理者の大切な職務です。統括安全管理者は、安全管理者や衛生管理者の調査や報告をもとに
- 労働者が安全に健康に仕事ができるように職場を整える
- 労働者に安全で健康に仕事ができるように教育を施す
- 健康診断等の労働者の健康促進にかかわることを実施する
- 労働災害の原因の特定と対策を施す
などを行います。つまり、大人数が働く事業所で労働者が安全に健康に仕事ができるように安全管理者や衛生管理者を統括して職場を整えるのが職務なのですね。
3.統括安全衛生管理者を選任するには?
この項では、統括安全衛生管理者の選任基準等を解説します。どのような人が選任を受けられるのでしょうか?
3-1.統括安全管理者の選任基準
前述したように、統括安全管理者は安全管理者、衛生管理者の仕事を統括する職務を担います。ですから、工場長などある程度責任と権限がある立場の人でなければなりません。正社員でも権限がない人は選任を受けることは不可能です。もちろん、アルバイトや派遣社員は選任を受けられません。
3-2.資格の有無
統括安全管理者の選任を受けるために、資格は必要ありません。ただし、労働安全衛生法に関する知識は身につけておきましょう。
3-3.届け出などについて
統括安全衛生管理者を選任しなければならなくなった場合は、14日以内に選任を行い、最寄りの労働基準監督署に届けなければなりません。違反すれば罰金等が科せられます。届け出は、都道府県ごとに異なるので分からない場合は必ず労働基準監督署に尋ねてください。
4.統括安全衛生管理者に関するよくある質問
Q.統括安全衛生管理者は、どこまでの権限があればいいのですか?
A.一概には言えませんが、職場全体を統括する権限がある人が最適でしょう。
Q.統括安全衛生管理者になるためには、労働安全衛生法に関する知識がなくても大丈夫ですか?
A.選任基準に影響はありませんが、務めを果たすためには法律に関する知識は必要になります。選任後でいいので勉強しましょう。
Q.派遣社員やアルバイトを名目上統括安全衛生管理者にしてはダメでですか?
A.認められません。
Q.統括安全衛生管理者に年齢制限はないのでしょうか?
A.ありませんが、選任を受けられる立場が限られているので若年者は選任されにくいはずです。
Q.統括安全衛生管理者が衛生管理者を兼ねることはできますか?
A.できません。
おわりに
いかがでしたか? 今回は統括安全衛生管理者の職務についてご紹介しました。
まとめると
- 安全管理者、衛生管理者の指導を行う。
- 安全管理者、衛生管理者と共に事業所の労働者が安全に健康に仕事ができるように職場の環境を整える。
- 労働災害が起きた場合は速やかに原因を調べ、対策を施す。
という職務があるわけです。統括安全衛生管理者が職務に熱心な事業所は労働者にとっても働きやすい職場になりやすいのです。