労働安全衛生法に基づく定期健康診断とは? 4つのポイント
日本では労働安全衛生法第66条によって、各会社における労働者の定期健康診断実施が定められています。ですから、会社で働く従業員の健康管理は事業者が行わなければならない重要な責任なのです。とはいえ、従業員の定期健康診断の実施要件や診断項目に関して疑問を持つ人も多いようですね。
「定期健康診断の費用は誰が負担するのか?」「どんな人が定期健康診断を受けられるのか?」「定期健康診断はどれくらいの頻度で行うのか?」「どのような診断項目があるのか?」定期健康診断に関してこのような疑問を持っている人もいることでしょう。あなたもこれらの疑問に対する答えを知りたいと思ってませんか?
そこで、労働安全衛生法に基づく定期健康診断の実施要件や診断項目について4つのポイントをご紹介します。定期健康診断を正しく理解するために是非お役立てください。
1.定期健康診断の費用負担は?
労働安全衛生法では、「会社で行われる定期健康診断の費用は基本的に事業者が負担する」と定めています。ですから、入社前の健康診断・入社後の定期健康診断は基本的に会社が負担してくれます。しかしながら、事情があって会社の実施する定期健康診断を受けることができず自分で健康診断を受ける場合は、費用が自己負担になる可能性がありますよ。
2.定期健康診断を行う時期は?
定期健康診断はどれほどの頻度で行う必要があるのでしょうか? 通常の定期健康診断は毎年1回です。しかし深夜労働者の場合は6ヶ月に1度定期健康診断を受ける必要がありますよ。
会社の指定した病院へ行くか、会社に来る医療チームによって診断を受けることになるでしょう。
3.定期健康診断を受けられるのは?
会社が行う定期健康診断を受けられるのは「その会社で常に業務を行う人」です。ですからその会社の正規労働者は全て定期健康診断を受けることができます。でも、「パート・アルバイト・契約社員はどうなるの?」と思うかもしれませんね。実は、パート・アルバイト・契約社員も一定条件を満たせば定期健康診断を受けることができるのです。
- 無期限で契約している者
- 1年以上その職場で働いている者
- 1週間の労働時間が正社員の4分の3以上ある者
パート・アルバイト・契約社員でもこれらの条件を満たしている人は会社の定期健康診断を受けることができます。自分の業務内容を確認してみてくださいね。
4.診断項目は医師の判断で変わることがある
定期健康診断の診断項目にはどのようなものがあるのでしょうか?
- 既往歴と業務歴の調査
- 自覚症状・他覚症状の有無
- 身長・体重・お腹周り・視力・聴力の検査
- 胸部エックス線・喀痰検査
- 血圧の検査
- 尿検査
- 貧血検査
- 肝機能検査・血中脂質検査
- 血糖検査
- 心電図検査
これが基本的な診断項目です。しかしながら、医師の判断や年齢によって省略される項目もあります。
逆に医師の判断で追加される診断項目もあります。
- 喀痰検査
- 胃のエックス検査・腹部の超音波検査
- 尿酸量の検査
- B型肝炎ウイルス抗体検査
- 血液型検査
- 糞便塗抹検査
通常の検査で異常が見つかった場合やその他の理由で医師が必要だと判断すれば、これらの診断項目がプラスされることがあるでしょう。
4-1.職業性ストレスチェックについて
職場で受けるストレスは職業によっても異なります。たとえば、接客業と製造業では「どのような時にストレスを感じるか」は、全く違うでしょう。ですからすべての職種でストレスにかんする同じ質問をしてもチェックの意味がありません。現在はインターネット上で、職業性ストレス簡易調査票が公開されています。医師が公開されている簡易調査票を元にストレスチェックを行うところもあるでしょう。
5.定期健康診断に関するよくある質問
Q.会社の健康診断は誰が計画し、実施するのでしょうか?
A.50名以上従業員が所属している事業所では衛生管理者が行い、49名以下の事業所では安全衛生推進者が行います。
Q.常時雇用している労働者というのは、派遣社員は含まれるのでしょうか?
A.派遣社員は、派遣元が健康診断を行う義務があります。
Q.健康診断は絶対に受けなければなりませんか?
A.受けない自由はありますが、会社が健康状態を知りたい場合もあります。その場合は、自費で健康診断を受けなくてはなりません。
Q.健康診断で職場環境の悪化が分かった場合はどうすればよいのでしょうか?
A.衛生管理者及び安全衛生推進者が、速やかに経営者に事の次第を伝えて改善しなくてはなりません。
Q.健康診断は自費で受けるように言われましたが、違法でしょうか?
A.はい。常時継続的に雇用されている場合は違法です。
まとめ
いかがでしたか? この記事では、労働安全衛生法に基づく定期健康診断に関して4つのポイントをご紹介しました。
- ポイントその1:定期健康診断の費用は基本的に事業者が負担する
- ポイントその2:定期健康診断は仕事内容によって行う時期が異なる
- ポイントその3:定期健康診断を受けられるのは「その会社で常に業務を行う人」
- ポイントその4:診断項目は医師の判断で変わることがある
労働安全衛生法に基づく定期健康診断はこのように実施されます。良い健康状態で働くために正しく健康診断を受けるようにしてくださいね。